2009年12月15日火曜日

奥多摩ワインディングでやたら速い軽1BOXに遭遇した日

 先々週くらいだったと思うけど、遠出ならしで出かけた奥多摩山梨方面の帰り、小菅村からの139号~
奥多摩湖畔の411号で、やたらめったら飛ばす、どう見ても商用車にしか見えない軽1BOXに遭遇した。
 小菅村からの帰り、小菅村から中心街から出ようとしたとき、右手からやや挑発的に割り込んできた車が、
いた。べつにこんな田舎道のこと、まあまあしかたないさ・・・と平常心でいたが。

 普通の速度レベルで走ってると、なんかけっこう離される感じなのであった。う~ん、ノーマルのダンナ
仕様アリストとはいえ、乗ってるやつが乗ってるやつなんだから、こりゃあ変だなあ~と思いながら、ちょっと
関心を持ってしまった。それに足回りの性能チェックでも、やってみるにはいいかなあと。

 で、能力60%のノーマル走行から70%くらいまであげてみる。う~ん、まだ向こうのが速いぞ~。こりゃあ、結
構気合い入ってるのかもなあ・・・・でも、いくらなんでも、軽をアリストみたいな車で血眼になって追いかける
ようなガキまるだし走りはプライドが許さん。とはいえ、どのくらいこいつが速いのかも興味をそそる。ってこと
で、離されない程度にパワー差だけは絶対使わず(直線加速で詰めない)追走してみた。
 
 さらに能力80%まで引き上げる、ここまで来ると荷重移動してアンダー消しながらコーナリングする段
階だ。う~ん、やっと離されなくなった。で、今度はこのまま、ちょーっと詰めようかと思っていた矢先、リ
アが悲鳴を上げ、スピンしかけてあわててカウンターあてる。と、やつとの間は、一気に広がってしまっ
た。
 はじめて走る道の悔しさかな・・・・

 さて気を取りなおし、しきりなおし。またまた徐々につまり、やっとこさ追いつく。
で観察してやることにした。軽トール型1BOX、山梨ナンバー、エンジンもマフラーもおそらく完全ノーマ
ル、足はロールもヨーイングもピッチングもしてないから、多分交換してるのだろう。しかし、こんな車に
チューニングパーツなんてあるのか??なんて考えながら、後ろをつかずはなれず、ちゃんと車間を10
~15mくらいはとって走って、どれくらいのレベルのやつなのかなあなどと考えていた。
 
 そのうち先行車が出てきたけど、こいつは無理をせず、ぬけるところでちゃんと抜いて、というより前の
車があまりの急接近に恐れをなして、わきによけたり、スローダウンしたのが事実だったが、前を走って
いた車で、抜かれない車は一台もいなかった。つまり、一般ドライバーでやつのスピードに対抗できる
のは、一台もいなかった。

 ということで、やつが先行車を追い越し、すこし間をおいて、またこっちも抜いてくる。で、追走が延々
くりひろげられた。といっても、向こうは知らないけど、こっちはまだ余裕ありの冷静ドライブだったけ
ど・・・
 
 しかし、どういうやつなんだろうと思った。こんなしょぼい車で、こんなに速く走れるとはね。峠の走り
屋?アマチュアレーサー?いくつくらいのやつ?どれくらいのテクがあるのか・・・興味はつきない。

 しばらく、後ろを走って観察しながら楽しむことにした。

タイヤ ⇒ しょぼい。よくぞ、これであそこまで走れるものだ。

 ライン取り、アウトインアウト、うーん基本は、完璧だね。
速度維持関係、コーナー入口でバランス崩さず、制動きちんとかけ、インベタ、出口ファーストアウト・・・

う~ん、まるでレーシングドライブみたいなこと、やってるなあ。

 これくらいなら、乗る車が乗る車なら、国内レースカテに出場しててもおかしくなさそう・・・・って感じ。

観察は、こんなところ。

 さて、ちょっと、こんな彼に、もっと上のドライビングがあることを知ってもらおうかなあという気がしてき
た。教科書どおりじゃない、ドライビングね。ちょっとあせるだろうなあ・・・と思いつつ。

 こんなシチュエーションで??という気もしたが、いい機会など絶無に近い現在の境遇では、せっかく
だからと、とっておきのハイスピードコーナリングの技のうち、いくつか使ってみることにした。

 案のじょう、やっぱり冷静さを失い、ラインをそれまでとっていなかった対向車線まで取り出したので、
もう限界なんだろうと思い、プレッシャーは落とし、能力80%以下のドライブに戻した

 しばらく行って、交差点で、彼が右折レーン、こっちが直進だったので、のぞくと20歳代前半くらいの
やさおとこのイケメン風の子だった。けっこう、集中してる感じ。う~ん、飛ばすのもいいけど、なんでこん
なしょぼい車でなー。ニヤニヤ笑いながら、手を振ってあげたら、ずっとおっさんなのに意外だったのか
驚異のまなざしをしていやがった・・・

 アリストの足回りテストをするのに、とってもいい経験をさせてもらったことに、感謝した。

追記

 アウトインアウト、スローインファーストアウトは、レーシングドライブでは、基本中の基本だけど、レーシ
ングマシンとちがってノーマル自動車では、インにつきすぎると、スピードが落ちてしまって、得策じゃ
ないことがある。そんな時は、先行車を基準にみながら、コーナリング中に、微妙なブレーキングをかま
して(トラクションを失わない程度)じゃっかんアウトに車体を出し(飛ばすともいえる)、同時にスロットル踏
みなおし(ここも非常に微妙に)で、コーナリングスピードを上げる技術を昔身につけたことが、ある。で
も、ドライビングの教科書には載ってないと思うから、邪道かもしれないけど。


 先行車がアウトインアウト、スローインファーストアウトでこっちもそれで、追いつけなければ、アウトミド
ルミドルインもしくは、アウトアウトミドルでの距離よりも速度維持重視のライン取りも、意外な程使えると思
う。中島悟が現役当時しきりに言っていた、トライアングルラインってのも、同じようなラインじゃないかな
あ。

 




 

アリスト3.0Vの燃費

 このあいだ、はじめて燃費計測を満タン時にした。

274.1km/36.17L  

 約7.58km/Lだった。それほど思っていたほど悪くなかった。これまでも、概算燃費を計算してい
たが、もっと悪いのかと思っていた。

 といっても、相変わらず燃料計針の落ち方は、不安になるほど刻々と落ちていくもので、実感としては、
リッター4~5kmくらいの気がする。

 ただし、今回は奥多摩~山梨、北関東への日帰りとかなり好条件な環境だったので、いわゆる郊外路
での走行が90%くらいだった。

 てことは、市街6km/L 郊外8km/Lといった感じか・・・・・・

 ノーマルなら、誰もが妥当な線といったところだろうけど、元は3リッターなんだし、あと20~30%くらい
良くてもいいんじゃないかと思う。まあ、このあいだの理由ね。

 ちなみに、スープラRZの2JZ-GTE搭載車は、平均で、リッター7kmとのこと。
 普通は、あれだけのパワーがあるのだからいい方・・・・って思うんだろうが、1500kg強で、ターボ付き
とはいえ、3リッターがもともとなんだから、個人的には、もっと良くてもという気がする。
 もっとも、最近じゃデータくらいしか残ってない、L20ETの2リッターターボのスカGジャパンでさえ、
リッター7kmってのが、現役当時何人もから聞いた話だから、その時代にくらべれば、進化したのかも
しれないけど。(L20ET:グロス145PS)

 とりあえず、在庫処分で買った、アースケーブルでアーシングをしてみる予定。べつに燃費向上狙って
るわけじゃないが、どうもラジオやカーナビへのノイズ、電力不足が疑われるのもあってだ。
 アーシングって、はじめてだが、どれくらい効果あるのか、自分で確かめたいと思う。


2009年12月9日水曜日

アリスト3.0Vの2JZ-GTEエンジン

久しぶりに書き込むことにした。ずっと、ほっといておいたのに、ときどきのぞいてみると、アクセスカウンター
の表示が上がってるようだし・・・・

 最近、足に使ってるアリスト3.0Vの2JZ-GTEエンジンだけど、こりゃあまさに、日本的ギミックエンジ
ンの典型だという気がしてきた。ノーマルの3リッターターボは、7M-GTE以来だけど、一見、相当進
化してまるでNA5.5リッターみたいな感じに仕上がっては、いる。だけど、注意深く調べてみると、かな
り問題がありそうなんだなあ。それを書いてみようと思う。
 しかしまあ、知ってはいたけど日本車のエンジンって、どこでも、またおそらく今日でも、こんなのと大差
ないということなんだろうか、わからないけど・・・・・・

 まず、基準点をどこにとるかだが、メルセデスベンツエンジンを基準にする。それと、Fコン交換の
チューンドエンジン(吸気排気系程度)も。

<長所>
初期立ち上がりが、パワフル。1400rpmくらいから過給し出すので、SCなみ。
高速回転でも、音量が静か(7M-GTEでは、140kmくらいから音楽、楽しめず)。
2段目の高速側ターボがかかってからのパワーは、どうにか5リッター級。(ただし、アクセル深度の割に
伸びがない。)
直列6気筒独特の良さは、意外にも十分ある。特に加速時のなめらかさ。
ただし、BMWのような、力強い音、振動を伴った、色気はない。

<短所>
完全な非線対称形スロットルシステム。ごく浅いスロットル開度を維持してると、不自然にアクセルが
勝手に沈む!
上記のため、初期加速が、ドライバーの感覚より上回るため、望外のパワー感をもたらしごまかしてい
る。(ほとんどの国産車のノーマルエンジンが、該当するが)
結果として、フルスロットル時の速度の伸びの頂点が、ドライバーの感覚を下回る。・・・・が、おそらくほと
んどの一般ユーザーは気づきもしない。

エンジンの基本的パワーは、たいしたことない。急こう配のワインディングをパーシャルスロットルで上っ
て行けば、基本的なパワーのある車と比べて、一目瞭然。ギヤリングも、過給を前提にしてるのだろう
けど、過給を前提にした高出力だのみは、明らか。

 初期加速は、5.5リッターNA320~330馬力級だけど、最終的には前にも書いたように、それほど
ではなくてやっぱり280馬力程度のフルパワーって感じがする。

 問題は、異常な燃料消費である。この程度のノーマルパワーなら、市街7~8km、郊外9~10km以
上、行ってもよさそうだが、下手に乗ればその半分くらいしか走らないのでは?(自分のは、そこまでひ
どくない)ノーマルの燃調が、かなりリッチになってるとしか思えない。以前、聞いた話だが、メーカー
ノーマルでは、どんな状況でも壊れないセッティングにしてあるのだそうだ。たとえば、10%オーバー
の勾配の長~い坂道を、フル定員乗車で、ODのまま低速回転で走っているみたいなエンジンに過酷
な条件でも問題ないように。

 とくにターボエンジンに対しての、日本車メーカーの気にしすぎる傾向は、かなりのものだと聞いたこと
がある。というのも、エンジンスペックは、上がったけども、それを常用するとか、ごく普通に使用するの
に必要なエンジンパーツの材質、強度やセッティング、燃調等々、備えていない・・・・つまり、そんなコス
トはかけていないらしい。

 ということで、この3リッターターボエンジン、ノーマルのままでは、手かせ足かせをされたまま、竹馬に
乗って走りまわるようなエンジンである。
 資金的に余裕があれば、Fコンチューンをやったほうが、ずっといい車になるだろうと思う。

 多分、ノーマルそのままでの本来のポテンシャルは・・・・・
 330~360bhp(過給0.8~1.0kg以内で)⇒十分5.5リッタークラスである。
 (エンジンもタービンもそのままで1.2kgかけても全然問題ないそうで、その場合は、
400bhp前後、55kgmくらいとなるが。)
 トルクは、48~50kgmといった感じかなあと思う。けっこうすごいポテンシャルだ。というか、
ほかにこんなエンジンは、ニューGTRや一部のレクサスを除けばRB26DETくらいしか
ない。

 もちろん安全マージンは、普通の使用状況で、ノーマルレベルと対等で。

 Fコンのトップエンド版に交換なら、あと1割くらい、さらにパワーアップするんじゃなかろうか。(もちろ
ん、いっさいノーマルと同じマージンをとり、なんら犠牲にすることなく)

燃費は、市街でも8km前後、郊外高速は、9~12km

 これが、本来出るべき性能だと思う。もっとも、ピークパワーの常用使用は、道路環境的にも物理的に
も無理で、瞬間的なものに限られるだろうけど。

 なにも、車オンチがへんな使い方をしてぶっこわしてしまう危険をおそれるあまり、こんな情けないまま
にしておくのは、惜しいかぎりである。これなら、世界的に見ても、かなりすばらしい能力だと思えるのだ
けど・・・・・



2009年11月19日木曜日

MR2のフォグランプを交換

  ネットオークションで手に入れた、フォグランプをやっと取り付けた。ネット上に公開されている個人のHPを
参考にやってみた。メインランプ交換に比べると、けっこう難しい。もし、これからやろうと考えている人で
フォグ交換をやったことがなかったり、機械いじりが苦手な人は、自分でやるのは、よしたほうがいいかもしれない。
 こういった作業の経験者なら、ぜんぜん問題ないだろうけど、それ以外ならけっこう苦労する。

 HPには書いてなかったが、2箇所で止まっているビスが、かなり奥にひっこんでいて、とても照明なしでは、
見えないので、メカニックが使うようなポイントライトもしくは懐中電灯が、絶対不可欠だ。

 1日目、作業場にライトを持っていかなかったので、15分で中断になってしまった。

 2日目、  天気は快晴だが、例によってビスは見えないので、懐中電灯で中を照らすが、車を置いた
      位置が逆光になっていて、とても見ずらかった。なんとかビスの位置を確認して、ネジ山の
      角度と+ドライバーの山を合わせるようにそろりそろりとドライバーを合わせていくと、何度目か
      で完全に山にはまったらしく簡単には回らなくなる。もし難なく回るようなら、なめている可能性
      が大。何度か、慎重に力をかけてまわし試しをして、大丈夫と思えてから、一気に力をこめて
      回すと、ビスは回ってくれた。ここで驚くのは、ビスが外れるまでにかなり回すことで、おおよそ
      30回転前後だった気がする。左右片方2箇所ずつ、合計4か所を外せば、ぐらついて、固定
      は解除される。配線部分が穴にひっかかっているので、ここを慎重に取り出す。これでフォグ
      一式の取り外し終了。

        ビスは左右とも中央よりのビスの方が、ドライバーを差し込みにくく(角度的にクリアランスが
      ほとんどない)、またとても見えにくいので苦労する。ここで適当にやるとたぶんビスのネジ山を
      傷める。さて、ランプを取りだす作業へ・・・・HPでは、コネクタを外しているのだけど、自分の
      は、かっちりしまっていてなかなかはずれないので、問題なかろうと外さず、配線からぶらさ
      がったまま、やってしまうことにした。(注:通電してる場合は、感電危険あり!)ランプBOXの
      蓋をまわし、ランプ本体を固定している金具のフックまでたどり着いたが、ここでつまずく。どう
      しても外れない。どうして外すんだろうと悩んでマイナスドライバーで金具をひっぱっていると、
      なんのことはない、上下をはずすんじゃなく、ド アみたいに開けるやり方だった。

        わかってれば、簡単だけど、知らない人にはかなり難問。HPの筆者もここで、かなりてこ
      ずったとのこと。交換して固定までいったが、なぜかカタカタして固定せず日没で中止。


 3日目、 最終固定をめざす。ビスと穴は完全にあってるのに。回していくと、あるところで止まってしま
      う。ビスと穴にパーツクリーナー、556、さび止めスプレーして、今度はフォグを持ち上げなが
       ら、ライトで照らしつつドライバーの先端に突き刺したネジとねじこむ箇所の穴の位置を確認し
      ながら、合わせていき、いったんねじ込みで止まったはずのところから、さらに力いっぱいで回
      したら、不思議に回って固定するとこまでいった。(フォグ本体を持ち上げ気味に上に向かせ
      ながらやるのがポイント)
       しかし、一度止まるとこがあってからさらにねじ込めるとは、やってみないことには全然わから
      ないもの。おまけにかなり力を入れたためか、けっこうネジ山に影響が出ている。(ネジ山がな
      めはじめている)次やる時は、交換が必要か。けっこう特殊形状だから、なかったりして・・・・・・

    補足: このビスを止めるには、いったんフォグ本体を固定位置に手で合わせてから、ライトで穴を
        確認しつつ、+ドライバーのさきっちょにネジをさしながら、穴までもっていくような芸当をし
        ないとうまくいかない。
******************************************

必要工具等・・・・普通誰でも持ってるようなものでOK

   HPで紹介していた必要工具:+ドライバー2~3本  ⇒ サイズ、長さが合ってれば、1本で
                                             大丈夫。

   HP紹介以外に必要な工具:ポイントライトもしくは懐中電灯(晴れた昼でも必要)
                    マイナスドライバー(ランプ本体を止めてる金具をはずすとき有効)


交換してみて・・・・・・

  さすがに5500K、125Wは、半端じゃない。降りてみると、まぶしいくらいな明るさ。とくに近くの見え
方は、一変した。一度対向車からハイビームを浴びかけた。ちょっと昔ならパッシングライトの嵐だったろうか・・・・

  これからは、できるだけ乱用しないことにするか・・・・・
  普段は、なるべく使わないように。

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2009年11月12日木曜日

夏目漱石の後期3部作をめぐって

 「行人」を最近読んだ。かなりの大作である。400ページオーバー。しかしながら新聞連載だったということもあって、
いやまあ区切りよく、規定分量で毎回毎回書き上げているのには、ただひたすら恐れいるしかない。それも
きちんと筋が展開して、また次へと進む期待を持たせながら・・・・・いや、すごい。こんな作家他に知らない。
いや、いるものか。まるで書き下ろしのような書きっぷり。こういう芸当ができるのは、漱石以外、ちょっと思い
当たらない。最近、漱石代表作のひとつ「こころ」に対する誰かの評価を読んで、ずいぶん久しぶりに読み返してみる
ことにしたのだが、ついでに中後期の作品「彼岸過迄」「行人」「虞美人草」「硝子戸の中」をピックアップして
みたのだった。もう20年も前に「こころ」は読んでいるが、今回あらためて読んでみて、登場人物との相対的年齢
が逆転したこともあり、まったく別の作品と思えるほど印象が変わってしまった。

 とくに冒頭で先生と出会う海岸での描写など、サガンの「悲しみよこんにちは」の中の海岸描写と相通ずる
美的印象を持っていることや、先生が実はそれほど「私」とは年齢の異ならないにも関わらず、先生と「私」
のような、ちょっと現代ではまったく見られなくなったような濃密な交友関係を成立させていたということに、
古き良き日本が持っていた、今ではほぼなくなってしまった「なにか」に対して感じるところがあった。
 正直以前読んだときは、名作名作と言われるけれど、それほどでもないなあ・・・という気がしたが、今回は、まったく一変した。

 というわけで、はからずもその言葉さえ知らなかった、後期3部作を読むことになったのだけど、「彼岸過迄」は、
名作にきわめて近い名作、惜しむらくは、やや焦点が定まっていない人物フォーカスさえもう少しなんとかなっていたら・・・・
というものであったけど、「行人」は、「彼岸」をさらに上を行く作品だった。
 随所に名文が散りばめられ、ただただ感心しきりだった。しかし、こんなすばらしい展開をどう最後にまと
めるのかとだんだん読み進めながら考え出していたところ、残念ながら最後の最後で、兄と一緒に旅に出た
兄の友人からの手紙の段になって、まったくの個人的見解だが、質的に低下した気がしてならなかった。
兄の友人の手紙内容の性格・言葉が、どうしても「二郎(弟である主人公)」とだぶってくるのである。うーん、
こりゃあまずいぞ、漱石さん!なんとかしかきゃ・・・・と思っていたら、それに気づいてくれたらしく??しばらく
先に行って別の人格設定に直したようだった。しかし、それにしても手紙が始まる冒頭から10段くらいは、
それまでの水準の高さからすると、びっくりするくらいの陳腐ぶりなのは、いったいどうしたことだろうか。それでもなんとか、
それまでの水準を大きく崩すことなく終えるのだが。残念ながら、著者本人にとっても、不本意なまとめかたでは
なかったかという気がする。

 そもそも、後期3部作は、証言形式で終わるもの1編、手紙形式で終わるもの2編と、安易なまとめかたをしているとは
言えなくはないだろうか?冒頭から前半、中盤にかけてのすばらしい盛り上がりを思う時、もっとやり方があった
んじゃないかとも思うのだけど。
 やっぱり、健康上の問題も大きかったのだろうか。「行人」の解説を読んでみたら、どうも最後の「塵労」とその前までの間に
病気で5ヶ月もの中断があったとあった。こんなことも影響しているのか。それとも単に思いすごしか?
私にはそう思えたのだけど、他の人は感じないものであろうか?


 まあそれとは別だけど、なぜか「塵労」のなかの前半部分の文体をながめていたら、こころなしか、村上春樹作品の
文体に似ている気がしてきたんだけど、これも思いすごしかなあ。
 

2009年11月11日水曜日

お前ら!バレなけりゃいいのか?身に危険がおよばなければ、なにをやってもいいのか?


 ここのところ、風聞に聞いたり、実際に出くわしたりする人たちで、どう考えてもそぅとしか思えないようなことがある。
たとえば、個人情報保護法についてだけど、ネット掲示板などに書き込まれているとおり、人事の採用にあたっては、
必ずしも守られていない・・・・いやそれどころじゃない。建前上、個人情報は保護されているのだから・・・ということを
隠れ蓑にして、あることないこと問い合わせてきた先に“密告”しているらしいというのだ。それもきわめて悪意に近い
表現で・・・・そんな書き込みを目にしたとき、色々思い出すことがあった。以前勤めていた先が、親会社の方針で
M&Aに応じ被買収になったとき、幹部クラスは当然お払い箱になったときのこと。会社は、日本の旧体質そのものの
会社を米国大手資本が買収してできた会社だったけど、買収してから入社した社員と元いた残党派とのあいだの
確執はけっこうなものだった。それからしばらくは、とりあえず彼らは表向き進駐軍たる買収側には従順を装っていた。
しかし買収した親会社が、思うような経営ができないと知り、撤退方針と決まってから、まだ実行に移されていないうち
から残党たちばかりが出世、栄典するようになった。しまいには、彼らは新たに買収してきた側にすりより、新たな
忠実な犬となったのである。

 私を含め本社の大勢が旧進駐軍ということで、職を失うことになったのだけど、それはそれでいい。ただ
許せないのは、きわどいコンプライアンスがらみの情報をふんだんに持っているヘッドクオーターの人員を狙い撃ち
にして、同業界から閉め出しを図ったとしか思えないことだ。(事実、HQ中枢部にいた人間は私の知るかぎり
業界には一人も残れなかった。)周りには、女性でも米国のMBA取得者などざらにいたし、なにより会社の方針
として日本のトップクラスの頭脳を集めるという理念のもと、到底他社には望むべくもないような人材の集積があった。
もちろん、新たに採用された、いわゆる進駐軍派だけど、旧体質な業界を変えようという意気込みは強く、キャリアの
割にはたいしたことのない年俸で頑張っていた。しかし、ことあるごとに足をひっぱったのが、残党派だった。
業務知識が多少勝っているからと言って、経営側から重宝がられ、さまざまな意思決定の場面で妨害に等しい行為を行った。
彼らの特長は、なにか新機軸を打ち出そうとすると、自分が属する残党派からの提案だと、まるでYes Man
なのだが、進駐軍派から、もしくは被管理職員側からのそれだと、必ずNoといい、Noの理由を必死で血眼で捜し
出し並びたてるようなまねを横の連携をとりながら、やったのである。

 こういう彼らの態度を日頃見せつけられるにつけ、いったい彼らの精神的性向をどう表現したら、正確
かと考えたことがある。そのとき思いついたのは、「理屈っぽい、一見理論的な答弁や説明、反論はするが、
内実内面は、きわめてエモーショナル(感情的、情動的)なやつらなのでは・・・・・?」という見方だ。
 まるで最近やりだまに上がることが多い、官僚の体質そのものだと思えなくないだろうか。

 正直言って、表沙汰になれば会社への評価を大幅に下げることになるであろう不祥事などはいくつか
知っている。中には、きわめて悪質な詐欺行為や人の生死にかかわる疑惑も事実ある。
 それなのに、建前ではコンプライアンス、コンプライアンスと念仏を唱えながら、そこそこの線で手打ちをして揉み
消しを計った上、知りえた立場の人間を業界から追いやるとは、なんたることであろうか。
 よほど警察にでも駆け込んでやろうかと思ったが、会社との契約上、退職後も守秘義務が5年課される上、
転職活動に意味もなく忙しく(先の影響が大きいと思われる)、余裕はなかった。そうして会社は、旧日本社から
引き続いてきた醜聞情報の拡散の防止を図ったと思うのは考えすぎだろうか・・・・(続く)

  
 

2009年11月10日火曜日

ヤフーオークションに最近、はまってます。

ヤフーオークションに最近はまっている。こんな便利なシステムを一度覚えてしまうと、もうやめられない。
 なにしろ安い!欲しい品物が幅広く見つけられる・・・・・・
 ネット通販やオークションでは、取引の危険性が心配する向きも多いけど、ヤフーの場合は評価システム
が機能してるし、出品者側は身元を一応、公開しなけりゃいけないので、一応のリスクヘッジが成立してい
る。それでも噂によると、IDを10以上持っていて競り値をつりあげたり、自作自演の評価書き込みをやって
る業者もいると、ある出品者から聞いた。だから、まるっきり手放しで安心というわけにはいかない。ある
程度の洞察力をもって取引をする必要がある。とはいっても、そんなのは別に一般的に物を買うときだっ
てあるわけだから・・・・ちょっとした注意力で防げるのではないかなあと思う。


 最近、ネットオークションで手に入れたもの

 MR2用 フォグランプ H3Cタイプ 
       スペック:5500K(ケルビン) 55W(ワット)仕様 ⇒ 125Wの明るさ
       980円(送料240円)
       *ケルビン・・・・・・・この数字が大きいほど、青っぽい色になる。

    経緯: ヘッドランプが、半年前これまた右側が球切れとなり、流行りの青っぽい明るいランプを
        探していたら、高いのは8000K以上とかで2万円もする。そこで、そこそこ青っぽくて
        (5000K)、実用性の高い(ロービーム180W/ハイビーム140W)をホームセンターで、
        たしか1780円で買って自分で取り付けた。しかし別のディスカウントではもっと安かった。

         そして右フォグランプ球切れ発生。ヘッドランプが、こういうスペックのをつけてる関係
        で最低でも5000K以上で、110Wパフォーマンスのを色々探したが、フォグランプそのも
        のが、あまり売られていない上、H3Cタイプなど1~2種類はいい方で、おいていない大型
        ディスカウンターもあるくらい。そしてやっぱりオートバックスは高いし。結局、ホームセン
        ターでは、3800K、110W 1380円くらいしかないので、物足りずネットオークションで落
        とすことになった。イーバンク口座を使っての振込OKだったので、日曜日などを使ってや
        りとりができて、きわめてスムースに手に入れることができた。今度の週末、取り付け予定。

コルベット用ワイパーブレード アタッチメント付きワイパーブレード(ゴム交換ではない)左右1組
                   なんと1100円!

    経緯: 純正ゴムが劣化して切れた。ブレードの塗装が剥げた。米国製品の特長として、きわめて
        耐久性が高い、くわえて最後の最後まで中々品質落ちが少ない、そのためかいきなり壊
        れる!・・・・・・オートバックスでBOSCHブレードの特売をやっていた時、あらかじめ購入
        していた(左右一対で5000円弱)ので、取り付けようとすると別売のアタッチメントが必要
        と判明、同店に2個200円で発注、やがて届く。

         再び取り付け作業、しかしアタッチメントとブレードのフックになる、かませる横棒状の
        部分とサイズが合わない!ちゃんと車種別照合表で確かめた。ましてやブレードもアタッチ
        メントもどちらもBOSCH製なのにだ・・・・

         よほどクレームでも出そうかと思ったが随分前に買い置きしてあるのだし、なんとか加工
        してくっつけようかと結束バンドで締め上げ、アタッチメントを無理やり固定した。
        しかし、今度はエンジンフードにワイパー停止時に格納されなくなってしまった。また、
        フード格納状態から作動させようとすると、ワイパーがひっかかり出てこない!
         コルベットや欧州の高速車などは、停止時はワイパーがフード下に格納されるように
        なっている。

         ためしに加工後の作動を確認すると、十字に締めた結束バンドでも、徐々にずれが
        発生してきて、最悪ブレードが外れてしまう可能性が出てきた。というわけで、なるべく雨天
        では乗らず、はからずも雨にたたられた時は走行スピードを落としながら、走行状態のまま
        フードオープナーを引っ張って、ワイパーを動かす始末だった・・・・・

         また高いブレードを買うのもバカバカしいので、オークションサイトを確認していたら、こん
        ないいのがあったという次第。とりあえず、バカ高い値段で買ったBOSCHブレードがもっ
        たいないので、どうしようもない不具合が生じたときのスペアとしてストックする。

*余談
      よく行くオートバックスで気づいたのだけど、夏が終わったころからレジカウンターの女の子
     がいつ行ってもまったくいなくなってしまった。去年、おととしあたりから、若い女の子に加えて
     50代のおばちゃんも混じるようになっていたので、「へっー・・・・・」と思っていたが、それどころ
     ではないようだ。レジに人がいないことも多く、ひどい時はメカニックが裏から出てきて対応して
     いる。また、つなぎを着たわけの分かんない(事務手続きを良く知らない)若いのがチンプンカン
     プンで困ってしまう。
      たしかに以前ほど、お客は入ってないしバンバン品物が売れてるわけでもなさそうだ。それ
     にこころなしかオイルなどの値段が上がったように思う。

      経営管理部門などに携わった時の経験からすると・・・・・人件費コスト削減、本部若手正社員
     の無料奉仕&応援、客単価向上を図った売れ筋商品の上代アップ・・・・という気がしてくる。
      そして、それでもコストオーバーなら・・・・CLOSEDが待っている・・・・・
     いつもオイル交換など(前持っていたソアラアクティブサスや今回のMR2チューンドは、オイル
     交換にうまい人でも1時間、それ以外なら1時間半以上かかる)お世話になっているだけに、そう
     ならないことを切実に願っているのだが・・・・・
      示している徴候は、ほぼ間違いなく不採算かつ赤字店舗のそれにちがいなさそう。

     ホンダ、トヨタのF1撤退、これまで大渋滞を起こしていた渋滞メッカの道路や地方のロードサイド
    型郊外店のある国道の走りやすさを目の当たりにすると、ここ数年が時代の分かれ道にきている
    気がする。それは、自動車関係にとどまらない。地方では、土地に買い手がつかないという。 
     もしかすると、この国は総合的に国の規模が縮小時代に入ってきているのではないか・・・・・
     もう以前のような人や物の頻繁な往来や出流入、バカ景気?の時代は二度と戻ってこないの
    かもしれない。
    とはいっても別の見方をすれば、パラダイムシフトが起きているだけだとも言えるわけで、その
    ベクトルさえ理解できれば、それほど心配はいらないとも言えなくもなさそう。でも、おそらくほとんど
    の人は、考える暇さえないんじゃないかなあ・・・・・

 
 けっこう似てますが、人の車の映像です・・・・・・ホイールとタイヤ(自分の:ネオバAD07)、マフラー
(デパーチャーⅡ)、車高(115cm)、エアスクープインテーク以外は、外観そっくりですけどね。

2009年11月9日月曜日

CAR BEAUTY PROからメールが来た。

 CAR BEAUTY PROからメールが来た。シート下の汚れがひどいです!ので、前後シートを外し
てクリーニングするので、脱着工賃5250円追加になります・・・・・・だった。
 写真つきで見てみると、なんかシートわきからドリンクか何かをこぼした跡が、何筋か残っていた。
そしてマット裏まで、写っていたから、下まで行ってるのかもしれない。映像だけでは、判断できなかった。
 中古の軽自動車より安く手に入れたアリスト3.0V、距離は行ってるが、その割にしっかり感は残ってるし
なによりエンジンが快調なので、素材としては十分だと思った。でも、長年の汚れが堆積して、また喫煙車
だったこともあり、雨の中でも窓を全閉できないほど。革なら、市販のクリーニング剤でも十分、汚れを
取れるけれど、ファブリックなどの布素材では、表面だけ拭いてもどうにもならない。中まで浸透してしまっ
た汚れや臭気は、プロにかきだしてもらわないとどうにもならない。
 ときどき、中古車なのにまるで新車のようなクリーニング状態の車に出くわすことがあると思う。ああいうプロ
ショップの最右翼が、CAR BEAUTY PRO。だいたいが、看板をもらって個人営業している
のだそう。キャンペーンで、36750円という予定だったのだけど、結局42000円になってしまった。
 それでも1週間以上かけて徹底的にやるそうだ。
 でも、まさかかかりきりじゃないでしょう?それじゃ、いくらなんでも食っていけないし。
 入庫した日、外装のガラスコーティングしたプジョー307CCが帰っていった。聞いたら5年保証の
コーティング処理車の1年ごとのメンテナンスなんだそうだ。メンテナンスだけでも金10500円也。
こういう金の掛け方もあるんですかね~。Sクラスも最上級ガラスコーティングしたけど、もう10年も
なーんにもメンテしてないけどなあ。
 でもそういや~、あのプジョー君、いやに神々しい輝きが、あの魅力的なリアのヒップあたりに宿って
ましたな~。色は、ブルーイッシュシルバーって感じだったか、そんなでした。


いっやあ、どうなってるのかなあ??

 7日土曜日、アリストをネットで見つけた大和市のCAR BEAUTY PROのショップに預けてきた。
これまで、横田基地横の16号~八王子バイパス~相模原方面16号~246~大和方面とドライブした
中で、圧倒的にすいていてスイスイ気持ち悪いくらい流れた。土曜日の昼から出発にもかかわらず・・・・・
 特に拝島橋までの慢性的大渋滞が、うそのようで小荷田からノンストップで橋を渡れたのは、驚きを
通り越して啞然としてしまった。
 多分、外環道が中央高速とつながって貨物トラックが大幅減少した影響が大きいいんだろうけど、ここは
80年代からすさまじい渋滞のメッカだっただけに、ここまで激変するのかと感慨しきりだった。
 外環道については、環境影響をを極力おさえたトンネル方式が、中央高速連結までの山の部分では
とられた。それでも環境保護派は、影響が否定できないとして猛反対した。たしかにトンネルでも、どこかで
排気するわけだし、振動や音だってゼロじゃないだろうから環境負荷がないわけじゃないだろう。でも、
慢性渋滞地区の環境問題や大渋滞による社会的コストの増大、生産性の低下なども無視しては、成立
しないわけであって、現状を見ればこれで良かったんじゃないだろうか?

 しかし、外環道貫通だけが功を奏したのでもなさそうな気もする。
実は、以前これも渋滞のメッカだった相模原方面の16号もスイスイ流れるのである。混んだのは、
八王子バイパスから16号への合流だけで、せいぜい10分以内だった。
いっやあ、どうなってるのかなあ??
まるで80年代前後じゃないか・・・・いやそれ以上かも。
もう自動車全盛の時代がピークオフし出したのか・・・・・
今のうち走りやすくなった環境を楽しんでおくか・・・・・・
それにしてもこの10年~20年前後はひどかった。
よほど山ん中でも行かなけりゃ、のびのび走れなかったし。


2009年11月5日木曜日

近くの航空自衛隊の基地について

 ときどきお世話になる仕事場の近くに、東京の空を西から守ると言われている自衛隊の基地がある。
11/3の航空ショーで有名なところだ。ここは、表向き住宅街が近いため戦闘機の運用は禁止されている
らしいけど、実際はよその基地から飛来した?機があるためか、結構戦闘機の離陸を見かける。
 大体、F4ファントムやF2なんかみたいな機影だけどよくはわからない。しかし以前横田から垂直上昇して
いくのを目撃したF15なんかに比べると、圧倒的に静かなのには驚く。F15は、近くに雷でも落ちたんじゃ
ないかと思ったくらいだった。ここの基地から飛び立つ機は、おもしろいことに全機、西に飛び出してから
バンクし東へ旋回していく。なんで秩父方面へ向かわないのだろう?もしかすると、米軍の横田空域との
関係なんだろうか。飛び立つときの機影は、圧巻そのものだ。中でも運用されていないはずの戦闘機の
発進がけっこうすごい。まるでバンクしながら離陸してきたんじゃないかと思えるほど、あっという間にバン
ク姿勢のまま飛び出してきて旋回していく。これだけでも結構見ものだと思うのだけど、ここらへんの人に
は日常の光景なのか、誰も見とれる人はいない。

 ターボチャージャー付き双発戦闘機P38の米陸軍、ナンバーワンエースだったボング少佐は、なんとか日
本機には撃墜されずに終戦まで生き延びてテストパイロットになったが、ジェット戦闘機のテスト中に事故死
して肉体は焼けて粉々になってしまった。ナンバー2エースの自信過剰の戦闘機乗りマクガイア少佐は、
公式には、日本軍機と交戦中に失速して墜落死となっているが、これはアメリカ人特有の負け惜しみの強い
事実歪曲で実際は、日本陸軍戦闘機“隼”と正面反航の態勢で撃ち合い、一撃のもとに全身撃ちぬかれて
即死したのが、ほぼ真相らしい。


2009年11月4日水曜日

ターボ車は、嫌いですか?(その3)

 先月、ずっと10数年も乗ってきた、私のメイン車ファーストカーソアラアクティブコントロールサスペンション
仕様を手放し、代わりにネットオークションでアリスト3.0Vを手に入れた。1991年式にもかかわらず、走行
が8.5万Kmだったので結構な値段で下取ってもらえた。先方は、神奈川のトヨタ系列ディーラーで上級
役員までやった方だった。ネットオークションでの自己紹介では、ずっとトヨタにいたとは書いてあったので
もしかしたら、メカニックだった人?かなあと思っていたのだけれど、まさか上級役員までやった御方とは・・・・
 昨日、NHKラジオ深夜便で作家の山本一力さんが出ていて、本当にすごい人、すごいことをやっている
本物は、たいがい口数が少ない、寡黙と言ってもいいくらいなことが通常で、俺は俺は・・・・・という人物に
たいした人物はいない。仮に自分や周囲の環境を語る時は、ちょっと恥ずかしがりながら話しますよね~
と語っていたのと、ちょっと重なる気がした。ここのところネットオークションで出会う人たちに、年輩者でそう
いう人にけっこう出くわす。これも時代なんだろうか。元経営者とか、かなりの資産家だとか、そういう人たち
は、ものの10分話せばだいたいわかるものだ。もしそれが、わからないなら、まだビジネスでの経験と勉強が
不足してるか、相手を見てもみんな同じに見えるウマシカ野郎なんだろう。

 まあともかく、いい取引相手に恵まれて良かった。とりあえず、こちらも車を嫁に出すつもりできれいに
磨き上げ、スタンドの洗車メニューも最上級を施し、車内をすみからすみまでクリーニング仕上げて渡した。
 以前、ソアラ3.0GTリミテッドエアサス仕様に乗っていたのだけど、アリスト3.0Vは同じ3リッターターボ
でも、1時代違う感じがする。前者は、2.5ターボ、後者は、5.5リッターNAくらいの開きがある。
 想像はしていたけど、足回りはソアラ4.0GTアクティブコントロールサスペンション仕様とは、まったく
月とすっぽんだ。ふわふわ落ち着かないダンピングは、1昔前のクラウンそのもの。
 それでも、エンジンのパワフルさは特筆もので、これまで乗った国産では、常用回転域では、もっとも
パワフルと思えた。もっとも、安定性が低いためかスピード感が高く、意外に速度が出ていないという
のもあるけど(笑)それでも、浜須賀道路、第三京浜とまったく余裕のクルージングで、ハーフスロットル
のまま第3レーン走行が可能だった。
 足も確かにダンピングが足りないのは、まちがいないが、かといってそのままトラクションが低いわけでは
ないので、ピッチングのリズムに慣れてしまい、それに周期があるのさえ理解できれば、不安は解消
する。だが、一般ドライバーは、この周期的ピッチングに不安定感を覚えるのが普通だから、ネット上の
評価はとても厳しいものになっている。
 私のメルセデスSクラスなんかと比べると、やっぱり足は全然違うのだけど、これはこれでいいんじゃないか?
と思っている。日本で通常使うのは、せいぜい70~120kmくらい。それ以上なら、話は全然別だが、これくらいの
速度なら、ドイツ車のようなコシの強い足までは、必要ない。タウンスピードなら、ソフトな方が乗り心地はいいし・・・・・・
 
 ソアラ4.0GTアクティブコントロールサスペンション仕様を通算約15年、2台乗ってきたけど、もう足で
乗っていくには、維持費が高い(自動車税8万円弱、燃費5~6km/㍑)のと、良さはあますとこなく味わった
という気がしたので手放した。
 しかし不思議だなあと思うことがある。よく言われることだが、手放そうとすると車がやけに調子良くなって、
まるで手放されたくないよう風を漂わせてくることなんだけど、今回もそんな経験をした。
 エンジンが心まで沁みいるような鼓動とメカニカルサウンドを伝えてくるのは、もしかしたら気のせいかと
も思えるけど、あんなに悪かった燃費が街乗りでもリッター7km走ってしまうようになったのは、ブロック
の削れたADVANネオバのせいだけじゃないような気もするし、各部グリスアップ、オイル添加なんかしてやると、
俄然乗り心地が回復するのを感じてしまったり・・・・・オーディオが昔感動した、あの時の音を出したり・・・・・・
果ては、嫁がす日には、CDオートチェンジャーが不具合を起こし、なかなかCDラックが取り出せなかったりと・・・・・・・・

 車にも心があるのだろうか。物は古くなると、心を持つ、というのは西洋人の言い伝えらしいが・・・・・・
 

2009年10月21日水曜日

ターボ車は、嫌いですか?(その2)

 前回、先の大戦では、米国の日本の戦闘機ではターボチャージャーが、採用されなかったとしたが、
自動車工学の歴史という上下巻の専門誌を読んでいたら、米国ではP38LとP41Dに採用したとのこと
だった。いずれも陸軍の戦闘機でロッキード社製になる。P38は、双胴の悪魔と言われ、大戦初期唯一
日本の戦闘機に立ち向かえた機種で、別名“ライトニング”。山本長官座乗の一式陸攻を待ち伏せ攻撃
をかけてしとめた機種でもある。また、米国での大戦時のナンバー1エース(撃墜王)ボング少佐、ナンバ
ー2エースマクガイア少佐の乗機でもあった。P41というのは、よくわからない。
 いずれにせよ一撃離脱戦術やロッテ戦法を駆使して戦った戦闘機だから、ターボエンジンでも問題なか
ったのだろうか。日本軍機得意のドッグファイトにも十分立ち向かえるとされたF6FやP51では、ついに
ターボエンジンは採用されなかった。そして、ついにレシプロエンジンの一線級の戦闘機では、スーパー
チャージャー方式が最後まで主流の座を占めた経緯になる。

 米国爆撃機で採用されたターボチャージャーは、自動車では1938年にスイスのメーカーの発明により
登場したというのが歴史上の嚆矢らしい。それでも、普及するのは戦後で、かなり早く60年代に手をつけ
た米国ではどういうわけか広まらず、70年代の国際レースシーンでの活躍により徐々に、欧州、日本
と広まることとなった。おそらく大半の人が、BMW2002ターボが、市販車のターボ第1号だと思って
いるのではないだろうか。

 日本でも1980年前後から、まず日産からターボ車がリリースされ、羨望のまなざしで見られていたのを
よくおぼえている。当時は、今とちがって3ナンバー車なんか乗っている人なんかひとにぎりだったし、
税金も確か3リッターで今の6リッタークラスと同じだったと記憶している。6リッターオーバーは、なんと
150,000円だった。バカバカしいたらありゃしない。そのバカバカしい車に乗っていたのだけど・・・・・
 当時、この不公平感を高級官僚になった先輩や大学の先生などいわゆる知識人達に、どう思うか聞
いてみたのだが、だいたいは日本の道路は狭いのだから、そんな大きな車を運転するなら、いたって
当然というような感想だった。なんて日本人は、馬鹿というか、官僚的というか、アホというか、ものの見方
が浅薄なのかと思ったものだ。もっとも、その感慨はそれほど今でも変わっていないけど、そのころよりは
多少ましになったかなという気がしないでもない。
 大体、2リッター5ナンバー枠34,500円と6リッターオーバー150,000円の差額になんの根拠があ
るというのか。実に4倍以上である!
 その後、80年代外圧(米国から)で自動車税は、現在のように細分化され低減されて今日にいたって
いるが、いまだに111,000円でもある。一時期、この超高額の自動車税をかわすため、広報宣伝車
やキャンピング仕様での登録が流行して、自動車税2~3万円前後の8ナンバー車がアメ車で広まった
ことがある。しかし、この8ナンバー登録偽装は、あまりにも増大したため当局に目をつけられ、ついには
警察に御用となった。もっとも御用となったのは、ユーザーではなく販売業者だったので、あまり世間
一般には知られなかったが、業界人なら誰でも知っていると聞いたことがある。事実、米国大型車を
扱っていた業者で8ナン登録をやったところは、社長ら代表者、工場責任者、が多数しょっぴかれて、
塀の向こうに行かされた人がそこらじゅうにいるらしい。

 私に言わせれば、そもそも自動車税の設定のしかたが駄目なのである。大排気量車に異常に高い
自動車税を設定し、さらに暫定割増税率をずっ適用した重量税を放置している行政組織に批判の目が
向かなかったというか、一蓮托生だった政治に大いに問題があったのだ。

 だいたい軽自動車と大排気量では、走る道が違うとでも言うのだろうか?大排気量が走れば、小排気
量車は、どいてくれるのか?さんざん、大排気量に乗ってきたけど、高速道路以外では、税負荷の分の
メリットなどまったく無いに等しいと感じている。

 こういう日本のバカな状況で、ではどうしたら自動車税をおさえて、パワーにゆとりのある車に乗れるの
かということになる。ターボだ。まちがいなくターボである。これしかない。それは、言いすぎか?いや、
極論すれば、ターボにいきつく。いくら、優秀なNAだって、それなりのパワーを出すには、4リッターは
必要だ。それを5ナンバーにいくらか盛った程度の自動車税で補えて、しかも大排気量なみのクルーズ
ドライブが可能なためには、ターボに限る!
 当初、それは排気ガス規制でパワーダウンしたエンジンがパワーを取り戻す手段にもなった。ただし、
なぜか、それを言うのはタブーであり、メーカーの広告は、省燃費!だった。驚くのは、80年型ファイ
ヤーバードトランザム301CID(4.9リッター)ターボのキャッチコピーにもそれが、使われていたことだっ
た。(つづく)

2009年10月14日水曜日

ターボ車は、嫌いですか?(その1)

 どうも私のまわりの車通の仲間では、アンチターボ車派、NAのほうがいい派が、圧倒的に多い。ネット
の掲示板でも、そんな論調が若い車好きに多いような気がする。

 私は、どちらかと問われれば、どちらでも派?だろうか。よく、ターボ VS. NAという語り口があるけ
ど、よーく考えてみると、ターボ VS. NAじゃなくて、ターボ VS. 大排気量(NA)って言うのが、
あってるんじゃないかという気がする。ターボは、排気量の不足を補い、あるいは小さいキャパのエンジ
ンながら大排気量なみのパワーを出す目的で存在していると思うからだ。NAというのは、特別に独立し
て存在するわけではなくて、基本型というか、もともとは、すべてのエンジンがNAが基本なのだということ
ではないのかと思うのだが・・・・・・世間ではNA高回転エンジン VS.ターボエンジン VS.大排気量
エンジンみたいな図式が自動車フリークの間で話題になっている。

 ターボエンジンというのは、原理がジェットエンジンにも応用されているというのは、知っている人は、
どれくらいいるだろうか。あまりいないんじゃないかと思う。私も、くわしくは最近まで知らなかった。専門の
本を読んでもなんの話やらむずかしくて全然理解できなかった。それがインターネットの発達にともない
同時にいろんな資料にあたれる強みから、今やかなり高度な専門知識も以前よりは容易に獲得できる
ようになった。そのおかげで、ジェットエンジンの基本的原理も、誰でもすこしは理解できるようになった。

 ご存じのように、ターボエンジンというのは、排気圧力を利用して、インペラー(排気側タービンブレー
ド)をまわし、それが同軸上につながったインペラー(吸気側タービンブレード)をまわしてやることにより
空気を強制的に吸い込むしかけである。NAでは、ピストンの下降にともない吸気バルブが開くことに
よって生じた負圧(吸い込む力)で空気を吸いこんでいる。つまり、言いかえればダブルのしかけで、
空気を吸い込むしかけと言える。それとNAでは、ピストンの押し下げ圧力で吸っているので、基本的に
吸気の圧力(負圧)は、一定(正確にはカムプロフィールによって変化する)だが、ターボエンジンの
場合、排気圧力が増えれば吸気圧力が増え、吸気圧力が増えれば、排気圧力が増え・・・・・と、原理
的には天井知らずで吸気量が増大することになっている。もちろんエンジンの強度に限界があるから
そうは、簡単な話ではなく、市販の自動車エンジンでは現実的にはそれほど限界が高いわけではな
い。
 
 自動車では、基本的に吸気量の増大によって増大した爆発エネルギーをそのままNAと同じように
クランク軸に導き、トランスミッション、ドライブシャフト、ホイール、タイヤと伝えている。一方ジェットエンジ
ンでは、さっきの排気圧力が増えれば吸気圧力が増え、吸気圧力が増えれば、排気圧力が増え・・・・・
の原理で幾何級数的に圧力を増大させ、きわめて濃密な圧縮空気を作り出し、そこに燃料(ケロシン
=灯油)を噴射、点火させ、爆発時の噴射エネルギーで人工的な気流を生み出す。当然ジェットエンジ
ンの手前は、エンジンに吸い寄せられるものすごい気流が発生することになる。
 あとは、翼やヨットのセールの推進力の原理と同じで、翼の上下を通過する気流の速度差を利用して
揚力を発生させ、飛んでいくことになる。離陸時は、多分フラップを使って揚力を前方に転がす力に
しているのでは、ないか。(そこまでは、調べたことがないが)。いずれにせよ、ジェットエンジンというの
は、タービンの化け物だと思えば理解がしやすいのではないだろうか。
 あたりまえだが、ピストンもコンロッドもクランクもない。

 60年代~70年代の米国でのV8エンジンパワー競争時代、ターボジェットV8とかロケット455とか、
スーパーコブラジェットなどのネーミングが流行ったが、どのエンジンもジェットは、おろかターボさえ
無関係のV8OHVだった。おそらく、軍用機の飛行能力にかぶせたネーミングでマーケットにイン
パクトを与えたかったのだろう。
 ただ、オールズのロケット455W31エンジンといのうは、どういう仕掛けになっているのか、吸排気
の多少パーツを変えた仕様で走って、いざ全開にすると、本当にロケットの発射音のような爆音を出す
のには驚いたことがある。おそらくノーマルでも同じだったかと思う。日本では、オールズロケットV8
のオーナーになった人は、数えるくらいしかいないだろうから全くそんな話は聞いたことがないし、米国
のサイトを見てもそれらしきことは、ちっとも載ってないないのだが。
  夜の国道バイパスで響き渡った、あのまるでロケットの発射音みたいな轟音は、私の錯覚だったの
だろうか?

 ちなみに、その後徹底的にブループリンティング(フルチューニング)を施された、ロケットV8は全く
そんな音は出さなくなったが・・・・

 話を少しもどそう。ターボチャージャーというのは、第二次世界大戦でおもに米国爆撃機に採用されて
高空を快速で飛行できるものとして圧倒的に活躍したのが知られている。B17やB29である。
 日本では、ターボチャージャーの技術が遅れていたため、なかなか迎撃ができにくかったと言われて
いるが、実際は大健闘でB29搭乗員3000人以上が戦死している。
 また、有名な米国海軍のF6F、陸軍のP51も日本機と同じスーパーチャージャー式エンジンだったの
だし。大戦末期には、戦闘機にターボチャージャーをという計画もあったらしいが、米国陸海軍は、採用
を見送ったと言われている。

 ということで、生きるか死ぬかの戦争における戦闘機同士の空中戦では、大排気量のスーパーチャー
ジャーエンジンが、優勢であったというべきじゃないだろうか?ターボラグのあるエンジンでは、話になら
ないということなんだろうか?

 *先日、呑龍という日本の4発型爆撃機搭乗員だった方(民間パイロットから軍に徴用された)の市内
で行われた講演会に出席させてもらった。ちょっと質問したら、司会者からマニアックすぎるのでそのへ
んで・・・・と中断されてしまったけど、大戦末期の日本の爆撃機でも、米国機を上回る3段3速、あるい
は4段4速のスーパーチャージャー付きエンジンを搭載していたということを聞いた。
 またその人の後輩で同じ会に出席し私の隣に座っていた人(80歳)が、私の方に向かいながら、詳しく
説明してくれたのだが、飛行機というのは離陸時が、一番馬力が必要なそうで、私がそのとき別に質問し
た水メタノール噴射装置(大戦中にドイツ空軍や日本海軍の紫電改でも使用したとされ、米国V8エンジ
ンのチューニングでも使われることがある)では、離陸時にしか使わないそうである。(ターボプロップの
旅客機の話だろうけど)。大体、灯油缶1缶くらいだそうだ。それ以上、戦闘機では、追撃時や避退時に
使ったのでは、ないですか?とはその方の専門とは、違うようだし、せっかく大切なことを教えてくれてい
るのに失礼な気がして聞くのは遠慮した。

 この方(後輩の方)は、昭和40年代から30年間、国際線ジャンボジェットの機長をされていたそうで、
その折りのアルバムなども見せていただいた。そこには、その方の40代の壮年時の頼りがいのあり
そうな機長姿があった。
 ジャンボを世界中に飛ばしていた人が、もうこんな高齢になっておられるのか・・・・・と少し驚いたと
同時に日本の戦前の航空パイロット養成課程というものの、質の高さというか、確かなものだったという
か、現代のわたしたちは、昔は遅れていたんだろう・・・・とステレオタイプな考え方になりがちだが、反省
しなけりゃならないという気がした。
 この方は、実ににこやかで腰が低く、品のいい好好爺というにはまだ早い老紳士という風情だった。
先輩もこの方も、学校は仙台乗員養成所という地方の航空学校出身なのだが、きちんとプロセスを
ふんで教育・訓練を続けると爆撃機やジャンボも飛ばせるようになるんだなあと、感慨深かった。






ファイル:P-51H.jpg



2009年10月13日火曜日

グレート草津さんとグレート草津2世の10年前のワンショット

 先日、2代目グレート草津(プロレスラーの父親のご子息で正道会館選手)が、
K1引退試合を武蔵とやったというネット記事を目にした。2代目グレート草津選手
は、期待されながらもあまりパッとしない戦績のうちに試合に出なくなってしまった
ので、どうしたのだろうと思っていた。記事によると、ずっとお父さんの看病で何年
もつきっきりだったとか書かれていた。これだけ見ると、この親子がどんな親子だ
ったのかわからない。世間には、そんな話は結構あるね~と思う人も多いのでは
ないだろうか・・・・・
 私は、とくに親子と人間関係があったっわけじゃないけどたまたま親子を半日
以上の時間見かけることになった経験があり、その様子を語ってみたい。  
 あれは、もう10年くらい前のことだけど、当時私はフルコンタクト空手道場勇志会
の門人のはしくれで正道会館主催の東都レベルの大会があり、同門の兄弟子の
ホープ(黒帯)をはじめ色帯選手数人が出場するので見に行った。
新宿体育館?だったろうか。その大会のフルコンタクト重量級の部準決勝でうちの
道場の黒帯の兄弟子のホープと対戦したのが、2代目グレート草津選手である。

 当時は、大学を卒業して内弟子(道場住み込み)修業しているという話を聞いた。
うちの兄弟子は、彼が黄帯、私が水色帯からのつきあいで、その絶大の強さとくに
パワーのすごさは知っていたので、当時まだ緑帯だった草津選手などは、全くよせ
つけず決勝まで行って優勝するだろうと思っていた。それが、試合が始まってみると
全くの互角の勝負が展開されたのである。両者とも20代で双方とも登録身長180cm、
草津選手が95kg、兄弟子が90kg(実際は85kgくらいかなと言っていたが)、うちの
兄弟子の筋骨に勝るともおとらないその体躯は、フルコンの選手で重量級とはいえあまり
いない。まして真っ向からのパワー勝負で互角の試合など、外人相手の試合を含め
みたことがなかった。もちろん技を含め総合的な実力では、もっと上を行く全日本
レベルの選手は、うちの道場内でさえ何人かはいるけれども、瞬発力面では、
兄弟子は相当のものだった。

 試合開始、中段の突きと下段のキックのおたがいにコンビネーションで攻撃防御
の応酬が開始され、時折草津選手が強烈なハイを放ち兄弟子がニヤリとしながら
受ける。そんな攻防が続き、2~3分たった頃だろうか急にお互いの表情が苦し
そうになりスタミナがきれかかってきたのが、見えてきた。
私は、普段の兄弟子の無尽蔵とも言えるスパーでのスタミナぶりを知っているだけに、
とても意外だった。そして、ほとんど同時に草津選手も同じ状態に陥ったのもまた驚きだった。
 まるで示し合わせてやっているようにも見えるくらいなのである。そのまま、中段の
突きの応酬で時間切れ 間際のラッシュで本戦終了、判定となった。下段のキックで
兄弟子有利、中段突き本数で草津選手有利と私には見えた。判定は引き分け。

 延長1回目、同じく中段突きの応酬と草津選手のときおりのハイ、兄弟子のローで
攻防が展開する。草津選手は、ひっかけ気味の上段ひざげり(本戦では2本くらい
しか使わなかった)を多用しだす。それが兄弟子の空手着を故意ではないのだろうが、
つかむような恰好になり、空手着が破れだす。2分経過、終了判定、引き分け。
 おたがいの息は荒く、たがいを凝視しながら、延長2回目、延長1回目と同様の
攻防が展開されるが、おたがいへばっているのが、よくわかる。草津選手の繰り出す
技が、少々荒っぽくなりだす。強引に上段のひざを相手の顔面に決めようとしている
のがわかる。そのたびに、受け流す兄弟子。しかし、一瞬つかみがあるため、体の
自由がきかず、前のめりになる兄弟子。その時、びりっと音がして、ついに袖の半分が
破れる。草津選手につかみの注意1回、延長2回目終了、判定引き分け。

 まだやるの~!!
 
 延長3回目ますます草津選手のパワーを生かした上段顔面を狙ったひざげりが、
つかみかげんで展開され、兄弟子は前のめりで受けかわし、すっくと背を伸ばしニヤリ。
当時うちの道場は受けの稽古にかなり力を入れていることもあってか、黒帯クラスで1本負け
を喫した選手は聞いたことがないくらいだった。この場合も一度も決まらないのだが、
審判への印象(もちろん正道会館側の人)としては、あまり、良くないかもしれない。突きは、
おたがい優劣なし。兄弟子のローは、本数がすこし減った気がした。そして延長3回目終了間際、
とうとう兄弟子の袖が破れてとれてしまった!!

 こんなシーンは見たことがない。それにしてもおたがいよく戦ったものだと思った。
おそらくトータルで10分前後全力で戦ったのではないだろうか。それにしても空手着を、
ひきちぎるほどの草津選手のパワーは、すさまじいかぎりだった。そして判定。

 2-1?だったかで草津選手勝利。その後、決勝では簡単にパワー技での一本勝ちで、
草津選手が優勝した。だから、準決勝が、事実上の優勝決定戦だったわけだ。
 観戦中の正道の試合関係者(スタッフ)が、「あいつもいい体してて、やるなあ。すげえな」
とうちの兄弟子のことをそばの別のスタッフに評していた。
 当時は、仮にも黒帯の兄弟子に対して、たかが緑帯の選手との対戦で失敬なやつだ
と思ったけど、その後草津選手が、全日本クラスで上位入賞したり、黒帯取得、プロ転向
と矢継ぎ早の情報を聴いて、納得がいったような気がした。

 それを兄弟子を教えてやると、「えっ~!! そうなんですか~?」(兄弟子は自分よりけっこう年下)
と言ってにこやかに笑っていたが、それほどあの一戦を特別には考えていないようだった・・・・・・
まあ、数々の大会のひとつの試合って感じだったんだろう。
 長く書いてしまったけど、この試合に亡くなった初代草津選手が、2回戦位から来ていて
観戦していた。プロスポーツ選手は、公称身長よりずっと低い人が多いけど、草津さんは、
思ったよりかなりでかい人だったので驚いた記憶がある。
 もちろん、当時50代後半くらいだろうから、多少低くなったとはいえ、公称192cmまでは
ないだろうけども、まちがいなく185cmは楽に超えている感じだった。それにあの体のでかさ。
悪い意味じゃないが、足が長くないので上半身だけからするとものすごく大きい。そのせいも
あるのか、気の毒に当時も歩き方が、シニアになった大男特有の歩き方で、ひざをいくらか
曲げかげんでぎこちなく歩いておられた。この人は、そばにいると全然威圧感もなけりゃ、
いばってるところなんか全く程遠く、自分が有名人だなどという雰囲気は全然出さない人だった。
 試合観戦も一般観客の中に混じり普通に見ておられた。試合が終わった後、知り合いが、
何人もいたせいか、おじさん同士で肩を横並びで組んで写真におさまったり、優勝した息子の草津
選手とうれしそうに隣に立ってトロフィーに写真でおさまったりしていた。
 そのとき聞こえた話しぶりが、言葉自体はぶっきたぼうなのだけど、とてもあたたかみのある人柄を
思わせる声がとても印象的だった。そして、親子はべたべたは、もちろんしていなのだけど、
なにかおたがいあたたかい親子関係なんじゃないかってのは、傍目にも何気になく漂い
わかる気がしたものだった・・・・
 あれから10年、草津さんは亡くなってしまった。たぶん草津さんを知る人は、あんな
いい人いなかったのに・・・・と無念だろうと思う。
 誰でもあんなおやじは、すばらしいと思うんじゃないだろうか。私のおやじも、すこし歳を
とってしまったけど、どこか似ている気がする。有名と無名の差は、大きいが・・・・
 
 優勝した2代目草津選手が、草津さんにおこずかいをせびったので、おたがいニヤニヤ
しながら、「しょうねえ~なー(草津さん)」と言いながらお互いの体で隠すようにして1万円を渡し、
受け取っていたのがほほえましかった。  草津さん、まだ66歳、惜しい人を亡くしたものだ・・・・・・
合掌

 ちなみになぜか木梨憲武が見に来ていた。また色帯の下のクラスでは、正道の若手ホープで
いずれK-1かと言われた194cmの中田選手も出ていて優勝したが、その後プロにはならなか
ったのだろうか。その後の噂をきかない。あとうちの兄弟子は、信頼できる人から聞いたのだが
(本人は道場ではあまり公開してなかった)「こち亀」に出ていたこともある、けっこう名の知れた
プロの声優さんである。