2010年1月27日水曜日

剣豪の話、宮本武蔵について

 日本の剣豪の歴史において、みーはー的ファンは、宮本武蔵こそ、史上最強という称号をあたえる
が、よくよく調べてみると、ほぼ同時代に数々の名人達人がいたことがわかり、どうもあやしそうだなと
わかる。だいたい、われ13にして・・・・で始まる、武勇伝など、本当に達人だったら、みずから誇らなくても
人や世間が、いくらでも名声を与えてくれるのではないかとも思える。

 たとえば、現代でいえば徒手空拳の格闘技にて、無敵のヒョードル・エメリアーエンコやかつての柔道
無敵山下泰裕、もっと下れば木村正彦、こういう人たちが、後世に残るような自慢をしたことがあったろうか。
木村の前に木村なく・・・・、や203連勝の柔道家、人類60億分の1の男、などいづれも、全部世間が
言ったものだ。

 それに引き換え、武蔵さんはといえば、五輪の書の序で、さっきの具合なのである。となると、ちょっと
こいつは、まゆつばくさいということになりそうなのだが、現代の研究では、その五輪の書そのものが、弟子
の筆になるのではないか・・・・とも言われているので、あながち武蔵さんに責任をおしつけるわけには、
いかないのかもしれない。現在、本人の手によるものか、そうでないかという問題では、そうではない、と
いう見解のほうが、優勢ときくから、ますます複雑になる。

 では、武蔵さんが著したとされる剣技の書、あるいは絵画などから推察しても、それほどの剣士では、
なかったのか?という疑問が生じてくる。数々の果たしあいは、でたらめか?

 これが、また厄介なはなしになるのだが、古武道を研究している方々などの評価からすると、やはり
相当の実戦経験をふんだ、まぎれもない強豪というのが定見らしい。武蔵が伝世した、かずかずの奥義は
現代の剣道(もともとは、ショーであった撃剣を下地にしている)でも、ずいぶん取り入れられている。
 目付のこと、正中線、足の運び方等々。

 しかしながら、武蔵が戦ったとされる数々の強豪というのが、地元のアマチュア武道家だったり、正体
も伝世していない強豪(佐々木小次郎など)、もしくは武蔵サイドが言うような結果とならなかったと証言
を残している武道家(吉岡派)など、枚挙にいとまなく、それでも強豪だった・・・・と言われても、なかなか
理解できないものだ。

 歴史を勉強していてよく思うのだが、知れば知るほど、矛盾した事実がでてきて、途方にくれることが、
ある。武蔵さんの場合も、まったく例外ではない。調べるほど矛盾だらけなのである。もしかしたら、絵を
書いた武蔵さんと剣士だった武蔵さんは、別人だったのではないか・・・と思ったことさえある。
 伝えられるような凄惨な修羅場を数々くぐった人が、あれほどの芸術を完成できるものだろうか?

 中には、丸目蔵人佐のように、われこそ海内無双(無敵ということ)と柳生家をあからさまに挑発し、
武芸十八般に長じ、自他共に最強と認じた(挑戦者は、いくら待っても出ず)人で、芸術の才もあったと
伝わる人もいるが、その書画が重文や国宝級とされたとは聞いたことがない。

 しかし、武蔵さんが残した芸術は、そうではない。いずれおとらぬ傑作で、複数が重文指定を受けて
いる。まさか、作者が武人だったからということで、下駄をはかされたわけではないだろう。
 となると、やはり過去の武芸者が残した芸術では、最上位といっても過言ではない。
  
 そんな人物が、はたして自分から、われこそは・・・・・などと、のたまうだろうか?と思わざるを得ないの
である。

 また、よく武蔵の物語が語られる時、当時は戦国時代が終わりを告げ、武芸者が仕官するのは、中々
苦難の時代だったと言われるが、ちょっと調べると荒唐無稽なことだとわかる。平和になっても、尚武の
社会的風潮が完全に消えたわけではなく、新陰流の剣豪など、仕官に苦労などしてなさそうである。

 いったい、武蔵さんとは実際どういう武人だったかということになるが、これはわたしの浅薄な勉強では
結論が出なかった。ただ・・・・・、いくつか言われてないことで気がついたことがあるので、書いておこう。

1、武蔵さんの剣名が、広く知れ渡ったのは、実は武蔵さんが老年を過ぎたころから、らしいということで
ある。ひとつひとつ資料を追っていくと、武蔵さんは、昔、すごかった・・・・という感じの言い伝えが、ほと
んどである。

2、どうやら、武蔵さん批判派の論調の原因を作ってしまったのは、武蔵さんを敬愛してやまなかった
弟子たちの企図によるものと思われる。

3、武蔵さんの待遇(知行300石)は、当時の最強クラスの武芸者の待遇と同水準だった。したがって
雇った主家は、かなりの高評価をしていたものと推察される。これは、現代で言えば、MLB選手やF1
ドライバーなどを思い浮かべれば理解できる。

4、たいした剣名を残さなかった弟子たちも、みな一様に大出世している。こればかりは、新陰流一門
さえおよばない。いったい、なぜか?単なる偶然か?これは、武蔵研究の上で、大きな謎である。
人によっては、武蔵が、実は相当の名家の血筋だったのではないか?とか、各大名家につてをたくさん
持っていたのではないか?という説を語る人もいるが、いずれも説得力を持たない。

5、武蔵さんは、特定の師を持たぬかわり、山川草木、ありとあらゆるものを師とした、などと物語られる
が、「大空のサムライ」の著者、故坂井三郎氏によれば、およそ戦闘などと言う、命の取り合い申しあい
のごとき特殊な技術を要するものは、心得を持つものから、手とり足とり教えられて初めて身につく、と
述べている。
 

2010年1月20日水曜日

福永武彦「愛の試み」について

 このあいだ、読了したこの人の「草の花」に続く作品になる。池澤夏樹という作家の名前をずいぶん
目にするが、この人の父親であるとのこと。もっとも桐野氏(名前の印象とちがって女性ではない)は、
ずっとそのことを知らずに育ったらしいけど。

 このエッセーは、若いひとたちが読むべきものだと思った。裏をかえせば、恋も恋愛も、女もそれ相応
に経験してきた男たちが読んでみたところで、そうだったかなあ、という感興くらいしかわいてこないのではないだろうか?
 標題から受ける印象が、美的であるがゆえに、引きつけられる人も少なくないとは思うが、概して男と女
の恋愛論だ。それも、どちらかと言えば、古典的な概念に基づいている。といっても、プラトニックな純愛
を論じたものでなく、ごく直截的な感じさえする、肉体的な交わりと恋愛とのかかわりや関係さえまともに
論じてはいる。どこを読んでも、ごくまじめに論じられていて、失恋こそ恋愛だ、などと言う屈折した敗者
の美学などもこの時代にはめずらしく、みじんもない。
 
 ただ、ややもすると、恋愛勝者の余裕で書かれた気配が感じられるのは、うがった見方だろうか?
 筆者は、体験にもとづく持論を展開しているようなのだが、福永氏、経歴からすると、モテ男だったよう
な様子なのである。
 同人誌に参加し、そこの中心メンバーと思しき年上の女性と交わり、できたのが桐野氏だという。その
後離婚して、別の女性と何度か結ばれている。どうも、女で苦労したような形跡がなさそうなのである。

 また、「草の花」という小説は、若い男性同士の、友情を超えた感情をテーマにしているが、こんな
テーマも、もしかしたら「愛の試み」だったのでは?などと考えさせられてしまうのであるが・・・・・・

 「草の花」は、じつに情景描写の美しい物語である。とくに、学校のクラブで伊豆合宿をした箇所の
描写が、じつに印象的で、ここでピークを迎える、美しい下級生への愛情というものを、作品の美しさ
そのもので、浄化しきわめてインプレッシブな芸術として仕上げるのに成功したと思う。「草の花」は、
若い世代だけでなく、広く理解できる価値性を有していると言えるが、「愛の試み」は、はたしてそこまで
価値があるのだろうか?私は、やや狭隘的な印象をぬぐえなかった。
 多分、これから恋愛や異性関係とのふんだんな経験が待ち構えているだろう、大学生などが読者とし
て適しているのでは、ないだろうか?

 ちなみに、愛とは人生の運命が引き起こす、「孤独」にあがなうすべであり、愛することは相手の「孤独」
を自分のもとして生きる決意をすることと論じているが、後段しかわたしには共感がなかった。もちろん、
そういう愛が、大きな愛として存在する意義は理解しているが、それを恋愛まで敷衍していいものか、
どうか私にはわからない。この論によれば、家族愛、人類愛、郷土愛も、男女間の恋愛も根源的に
いっしょということになりそうなのだが・・・・・・恋愛とは、はたしてそんなに高尚で意義深いことなのだろ
うか。こう言ってはなんだけど、あまっちょろいねーって言うのが、読後の実感である。


愛の試み (新潮文庫)




2010年1月19日火曜日

MR2のドライビング&サスセッティングについて(2)

 このあいだのつづきになる。
どんなふうにまとめて書いてみようかと考えていた。しかし、これがなかなかむずかしいというのに気がつい
た。どんなに言葉を選んで書いてみたところで、同じ仕様の車に乗ってないことが、当たり前、運転技術
や経験がどれくらいあるかも千差万別、おまけに身体能力さえ全然わからないで書いてみたところで、
あまり意味がないんじゃないかって気もしてくる。

 それに、ドライビングテクニックだって、チューニングだって、これしかないってのは多分存在しないだ
ろう、正確に言えば。そのドライバーなりに速く走れる方法ってのが、ドライバーの数だけあると言ったら
言い過ぎかもしれないが、一本しかないということはないはずだ。たとえば、シューマッハや星野一義み
たいに、がっちりフロントを決めてリアをある程度フリーの許容量をつけるセッティングにするセットアップ
もあれば、リアをかっちり決めてフロントは、ステア舵角コントロールで行こうっていうのとでは、ドライビン
グはかなり違ってくるだろうと思う。

 つまり、誤解を覚悟の上で言えば、これこそ最速のドライビングだと言ったところで、それはあくまで個
人的なソリューションであって万人に通じるかどうかと言えば、そうとも限らないということになる。

 となると、何を書いても結局、ひとつの参考例にすぎないということになりは、しないかということである。
 したがって、読んでもらったところでなんの役にもたたないんじゃないか?って気がしてしようがないが、
言葉に表現できる範囲で思い出しながら列挙してみる。
 ただし、書いてる時は、ドライブしてるわけじゃないので、思い出しながら書いてることを付け加えてお
く。それに結果的に、なーんだって感じの内容になってしまったかもしれないが、それをどのレベルで理
解できるかは、受け取り手次第だと言っておこう。わかるやつには、わかるだろうけど、わからないやつに
は、まるでありきたりのことと思えるかもしれないってこと。

ミッドシップのドライビングテクニック
(基本編)
 以下の知識、セットアップ、技術等が確認できていて、はじめて基本OKだという気がしている。

1)自分の乗る車の基本的特性を、カタログ値ではなく経験値として正確に把握する。
 ex. 各ギヤのレシオ、ファイナルレシオ、各ギヤ許容最高速度、エンジン回転のレッドゾーン、
 ゼブラゾーン、パワーバンド、トルクバンド、ストールバンド、ステアリングギヤ比の感覚的把握
 ブッシングのパフォーマンスレベル、サスジオメトリーから来る特性、現在のアラインメント値
 タイヤのコンパウンド、ブロックパターンから来る特性の把握、空気圧、スプリングの特性
 ダンパーの減衰状態、水温油音大気温、路面などなど
2)自分の体の形とそれにあったポジションの獲得
3)理想的なドラポジが、何時間でも維持できるようになるための経験
4)スポーツドライブに適したシートの選択
5)ドライビンググローブを着用した状態でのコントロールへの慣れ
6)正確ですばやい、エンジンストールゼロのギヤチェンジ
7)基本的にアクセルから足を戻さないで、のせたままで走りきれる習慣
8)ヒール&トーを完全にマスターしている
9)リバースステアに変わるポイントを完全に把握
10)リバースしたときの正確な処置ができる
11)1速のギヤ最高速度へのシフトダウンができる
12)メーターを見ないで、スピード、回転数がわかる

あと、もうひとつかふたつあったのだけど、ニュースに気を取られてどこかに忘れてしまった・・・・
次は、応用編でも書いてみるかあ。

 くれぐれもことわっておくが、あくまでひとつの考え方にすぎないってことで、気楽に考えてほしいと
思う。

2010年1月17日日曜日

MR2のドライビング&サスセッティングについて

 MR2という車、今となってはかなり個性的であると思う。それをいくつか書いてみよう。
といっても、やれバネレートは・・・やれ車高は・・・減衰力は・・・とまで追求してるわけではないが・・・・・

 ストリート~ワインディング走行レベルで、ちょっと書いてみようかと思う。
 

1)ノーマルでもかなり高回転型である。ターボで、アイドリングが1000回転前後もある。
 7000回転で頭打ちの割に、下のトルクはない。したがって、スポーツドライビングをするには、3000
 回転以上を保つ必要と、頻繁なギヤチェンジが必要。ギヤのシンクロ機構が、2-1速、4-5速が、
 低中回転しかまともに働かない。したがって、スーパードライブをやるときは、ヒール&トーをやらないと
 まずだめである。サーキットなら、あっというまに挙動を乱す。
2)リアのトー変化が激しいという意見もあるけど、自分のは決まってるのか、リアの問題はあまり感じない。
  ポテンザRE01から、ADVAN NEOVA AD07に変えたが、あきらかに走行感覚は変化した。
 縦方向のグリップは、同等。旧NEOVAは、POTENZAより縦方向のグリップは、やや劣った。ただし
 横方向への入力~旋回時への移行しやすさでは、あきらかにに旧NEOVAの方が、すぐれていた。
 新しい AD07では、性格的には 旧型のグリップ力アップ&コンパウンドの性質をやや変えたような
 気がする。旧型が、SSなら 新型は S と Mのあいだくらい。
 データ的には、AD07は、セミスリックのスポーツタイヤだった045の能力に匹敵しているストリートラジ
 アルなんだそうである。
 リアのサスは、重量物のエンジンでおさえられてるせいもあるのだろうけど、ある程度かたくしてしまって
 も、バタツクことは、ない。ただやはりエンジンマウントのゴムが剛性不足なので、ハードブレーキングを
 多用するなら交換したほうがいい気がする。エンジンが加減速で、じゃっかん動いてしまうので、絶対
 バランスを求めたドライビングをしようとすると、けっこう気になるかもしれない。加速は、ダンパーを固 
 めることで、ある程度回避できるが、急減速は、かなり問題になる。後ろから押されるような感じになる
と言ったら、言いすぎか?
 通常、MRはブレーキングに有利ということになっているけど、自分はかならずしもそうでは、ないと
思っている。MRのブレーキングは、おおかた有利だけど、ことフルブレーキングの減速にかぎっては、
さいごのさいごで挙動が乱れやすいと思う。たとえば、スーパーGTを走っていた HONDA NSXだ
けど、1コーナー進入手前のフルブレーキングでノーズが、他のライバルのFR車にくらべて、あきらかに
ヨーイングが激しくて、そのため、コーナリング中の速度維持が、MRならではの優位性を失っていた気
がするのもそう。
 自分のMR2でも、まったく同じことが起きた。それに、へたに舵角でも入っていようものなら、どこへと
んで行くのかわからないような目にも何度かあった。それほどMRのブレーキングは、簡単ではないと
いうことらしい。

 また、MR2では、エンジンの位置変化でギヤワイヤーへの影響で、シフトアップダウンが、やりにくく
なるという話もある。(ノーマル車でヒール&トーなしの場合に顕著)。

 ということで、自分としては、フロントのセットアップを重要視する。
しかし、これがとても難しい。設計上の制約もあって、かなりの問題だ。それをどう、ドライビング技術など
で、あるいはチューニングで対処するべきか、また書くことにしよう。

ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンを入れたら・・・・

 アリスト3.0Vの燃費の話、2回目。 
2回目の燃費は、6.69km/㍑だった。8割が、市街地走行、2割が、郊外のバイパスや走りやすい道。
やっぱり、市街地 6km、郊外 8km といったところが、この車のノーマル時の燃費らしい。
 さいきん、レギュラーとハイオクをブレンドで試してみたりしている。というのは、基本的に、レギュラーと
プレミアム・ハイオクでは、生成の上では基本的に異ならない、アンチノック剤と洗浄剤の添加をするか
しないか、だけの差だけだと知ったから。いや、前から聞いてはいたが・・・・・・
 アンチノック剤が、薄まるとオクタン価がその分、下がってしまうのか、それとも、そんなことはないのか、
試してみたい気がした。
 今のところ、全ハイオクと全レギュラーとでは、明らかに出力面で差が出るのがわかる。混合比半々では
どちらかといえば、全ハイオクに近い感じか。ただ、燃費では差は出ないし、パワーだって感覚値にすぎな
いから、どれくらいの優位差が出ているかどうかは、わからない。

 ネットでハイオク仕様エンジンにレギュラーガソリンを入れることの是非が論争されている。いろいろ
論調があるが、これというのがないようなので、私見を書いてみたい。

 前に書いたように、レギュラーGASとプレミアムGASとで、生成上の差は基本的にない。一部、精製
段階から、優秀なものをプレミアムとするかのようなことを書いてるのがあるけど、原油精製が比重の差
から製品分けをしてるのだから、ちがうだろうと思う。ただし、一説に、法律上混ぜ物の混入が、プレミア
ムにはないのでは?というのもある。そう、レギュラーには、日本の法律では、数%の混ぜ物があったと
しても許容されているはずである。その昔、無鉛ハイオクが発売される以前、安い無印スタンドでは、
レギュラーGASに水に乳化剤を加えて液体に化けさせたものを少し混ぜていたと言われている。
 事実、そういうGASを使った経験で、ふだんエンストなど起こさない車が、何度かアイドリング中に急に
エンストにあったことがある。

 公称値でのオクタン価、レギュラー 91~92、ハイオク 100と言われているが、実際の実測では、
レギュラー 89~91  ハイオク 97~99 と、以前、国の機関でぬきうち調査され公表され、あまりに
も、~100などと言う商標は、誤解をまねくとされたことがあった。それいらい、表向き、オクタン価を前面
に表示したハイオクGASはまずない。

 昨今のGAS事情は、元売り会社に聞いてみなければわからないだろう。ただ、高圧縮エンジンが増え
てからは、多少元売りも以前のようには、いいかげんな製品は販売していないのだろうと信じたい。

 ところで、ハイオク仕様にレギュラーGASを入れるのは、OKかどうかだが・・・・・
ノックセンサーが、あればOKという説明もできるにはできるが、もっとわかりやすく言えば。デトネーショ
ンを起こしやすいエンジンかどうか、それが境目と言えるのではないかと思う。

 言いかえれば、エンジンがその能力をかなり使い切るようなタイプのエンジンは、NG かなりマージン
をとって回してるエンジンでは OK、その他、発熱量が大きいエンジン(大排気量外車、外国ターボ
車、ハイコンプチューンド&ブーストアップチューンドターボ車)は、NGってことだろうと思う。

 エンジンをあまり働かせていない、マージンを取っているのは、走行時の水温が70~80℃くらい。
能力を十分使い切ってるのは、例外なく100℃前後になっているはず。これでわかると思う。
 
 ということで、レギュラーでもOKのハイオク仕様エンジンってのは、
国産ノーマル車のほとんどすべて、外車でもファミリータイプの車すべてということだろうと思う。

 わかりにくいのは、欧州車だと思うが、200km巡航当たり前の前提に設計されてるようなエンジンは、
たとえ2リットル以下でも NGということになるはず。

 280PS国産ターボが、大丈夫で、200馬力以下のNA のBMWが NG ということになるのだが、
わかってる人は、どれくらいいるのだろうか。

 ここらへんが、数字だけでは測れないエンジンの本当の力にも関係してくることなのだけど、馬力表示
ばかり気にしていると、なかなかわからない。両方、同時に所有できれば、別だが。

 本当にエンジンに力があるというのは、そういうことである。そういうエンジンには、ハイオクしかない、
ということである。

 つけくわえて言えば、国産ノーマルエンジンが、なぜ、そんなていたらくな仕様になっているかと言えば、
買ってくれる大多数のユーザーのレベルに合わせてるからにほかならない。

 

2010年1月15日金曜日

スポーツカーに乗りたけりゃ・・・・・(2)

 MR2を満タンにしてきた。今回は、街のりばかりだったので、6.5km/㍑強。
これを聞くと、おどろく人も多いと思うけど、ノーマルならたぶん、8km弱だったろうと思う。

 自分のは、いわゆるフルチューンドの車である。
 タービン変更から、オーバーサイズピストン、コンカムと言われるハイリフトカム272度まで多岐にわたって
当時の(といっても10年以上前の)最先端チューニングが施されている。これをHKSのフルコンで、全部
作動させているので、ノーマルのコンピューターはいっさいかかわっていない。
  これでは、普通燃費がいいはずが、ない。
  事実、中古で買ったときからしばらく、普通 リッター5~6km、かなりいい環境の郊外路でやっと、7
kmというありさまだった。

 それから、しばらくして自分でECUのリセッティングをやろうとしていたら、本当にリセットしてしまって
(データを消してしまった)、どうにもならなくなり、プロのお世話になって、フルコンの再打ち込みをやっ
てもらった。それで、やっとこさノーマルにやや近いレベルまで改善したというわけなのである。

 現在は、市街6~7km
      郊外・高速 9~10km
      最高は、長野ビーナスラインまで行ったときの約11km

 最近寒くなってからよく気づくのは、冷寒時の始動のことだ。燃料が濃くて、燃費が悪かったころに比
べ、かかりが悪くなったことはいなめない。普通のクランキングでは、だめなのである。ノーマル車が、寒
い朝でも一発始動!って最近では聞かなくなったが、少し前にはとても誇らしげに宣伝されたことが、あ
る。そう、昔のキャブ車なんかは、冬の寒い時なんかは、かかりがとても悪かった。
 で、どうしたかと言うと、チョークを引くのである。チョークを引き、クラッチを切りながら、めいいっぱい
アクセルを踏んだまま、クランキングしてかける。これが、寒い日の儀式だった。そして、水温が低いとき
に走りだしてしまえば、やたらギクシャクしたものだ。
 MR2も同じように、ただしチョークはないが・・・・・やってみた。やっぱり、うまく行った。それまで何度も
何度も、かからなかったのが不思議なくらい。

 そこで考えてみるのだけど、フルコンには、こんな冷寒時のエンジンスタートなど空燃費のデータなん
か入ってないのだろうか。メーカーノーマルFコンには、あっても・・・・・・・・・
  気温が、高い低いの時の空燃費って、ECUにそもそもデータが、あるのだろうか?

 どうも、あるような気がしない。水温、油音のセンサー、そこからのデータは表示になるけど、どうも気温
データは、いくら試しても出てこなそう。

 ということは、メーカーFコンが、コールドスタートが可能ってことは、たんに空燃費を濃いほうに振って
るからだけ・・・・・ということか。

 なんということは、ない。濃くしておきゃ、コールドスタートOK、エンジンがやばそうな状況でもOKという
からくりなのね。うーん、これって、ちょっとごまかしみたいもんじゃないのかい・・・・・・・


 ちなみに、アメリカ車のV8はキャブ車のころ、ほとんどチョークレスでクランキング可能。しかもオート
チョークなし。別に濃いほうに振った燃料でもなく・・・・あたりまえのように1分もせずに勝手にアイドリング
しだしている。これって、やっぱりすごいことなんじゃ、ないだろうか。
 まあ、エンジンが、かかった時の爆音は。御愛嬌ってことで・・・・・・・・・・・
日本だけ爆音が騒がれるのかと思ったら、本国でも似たりよったりの模様。

MR2のエアを0.1kg上げて、2・5kgにしてみた。びっくりするくらい跳ねるようになってしまった。
しかも、今のダンピングレートでは、完全に合わない。
ノーマルパッセンジャーカーなら、こういうことは、まず起きないだろう。
MR2が、ロードカーでありながらレーシングマシンに近い性格を持っていることの証しだと思う。
それは、とりもなおさず、スポーツカーの名に恥じない証明でもあると言ったら、オーバーかなあ?



     

ザ・掲示板の板友たち、その後・・・・

 今日は、やけにアクセス数が、多い。マイナーブログなのを自認してきたのだけど、多いことは好ましいこと。
いつもは、1日10件前後で、おじさんブログの平均的件数なのだが、今日は開けたらいきなり25件も閲覧
が、あった。なにが、興味をひいたのか?? わからない・・・・・・・けど、まあいいか。

 一昨年、閉じてしまった「ザ・掲示板」、いまでも多少サービスを存続してるし、過去ログなんかもいくらか
見ることができる。ただ、残念ながらあそこに集っていた、けっこうまともな書き込み手が散逸してしまった
のは、惜しいかぎり。2chに比べると、誹謗中傷なんかが少なく、和気あいあいとした、最近良く言う「まった
り」した感じ?のいい板だった。いわゆる、アラシなんかもそれほど気にならなかった。

 ほとんど、4輪カテにしか書き込まなかったけど、けっこう普通じゃ知り合えないような人たちがいて、楽し
かった。どんな反応を書いてくるか、おもしろかった。それに、自分自身、少なからず勉強になったり、役に
たったことも、けっこうある。それは、とりもなおさず、書き込み手のレベルが、かなり高かったとも言えるので
は、ないだろうか。正直、この分野で、それほど人から教えてもらうことなど、ないだろう、と思っていたの
は、間違っていた。板に来る人間でも、それ相応の人がいた。しかも、年々、話題のレベルは高くなって
いき、最後の方では、専門家が聞いても驚くんじゃないかと思えるくらいだった。

 それなりの経験やキャリアを持ち、興味を持った人間が、それなりに話し出すと、いっきにレベルが上
がっていくんだなあと、つくづく悟った。

 そう、どんな専門的な分野でも、みな多くは、こうやって始まっているんだから・・・・

板にいた常連さんたちのこと

H.N.:新潟の黒豹さん
 元日産社員、元アパレル関係の人、趣味で、友人知人の歴代GTRをチューニングしてきた日産車の
 オーソリティー、現在はアメブロにブログを開設。今は故郷新潟にて、自動車屋さんを開業してるらし
 い。R35 GTRをストックとのもっぱらの情報あり。

H.N.:コジコジさん
  FD使い、ミニカーマイクロカー、バイクを多数所有、ホームサーキットは、成田モーターランド、
  掲示板初期に、やたら自慢していきがっていた走り屋自慢の何人かに、冷静を保ちながらも挑戦状
  を送っていた気合いの入った本物の走り屋さん。現在、携帯ブログあり。

H.N.:せつかさん
   元レースクイーンかデモンストレーションモデル兼ジムカーナレディー。FFなら、わたしにまかせて
   お姉さん。自称、かなりの美人。身長が、170cmで、HITOMIに似てるらしい。書いてあることから
   すると、相当の腕自慢の模様。いろいろつこんで聞いてみたけど、やっぱり一時期かなり走りこんだ
   人独特の雰囲気を持っていたと今、思う。トヨタ党。この姉さんには、私はつまらない誤解から、ひ
   どい、ひどすぎることを書き込んでしまった・・・・・・ちょっと経ってから、見返して、なんてこと書いて
   しまったのか、と大いに悔んだ。勝ちっ気な女性だが、根はほんとにいい人だ。あの板では、なくて
   はならぬ紅一点だった。

H.N.:ケンタ
   若いスポーツカー好き、現在MR-Sを峠、サーキットで走らせる、アマチュアレーサー。板でなじり
   合いが続いた時、いや気がさしたような発言をして去って行った。MR-Sは、たしか事故の廃車
   のかわりに、補償金で買った模様。さいしょの印象では、シロートかと思ったこともあったが、実は
   かなりの上級者と判明。現在、オリジナルブログ開設。更新量、コンテンツ、かなりのもので、走り
   のブログとしては、トップクラスか。

H.N.:正親町さん
   企業の重役。イタ車フリーク。ユーノスロードスター乗り、マツダ AZ-1を、その昔、熱烈に捜して
   いた。スポーツカーが、なんたることか、ドライビングは、どうやると上達するかということをよく知って
   いた人。

H.N.:地球外生命体Tさん
   スレ主。富士のふもとで、自動車修理屋の2代目。意外と若いのを、あとで知った。機械メカメンテ
   関係にやたら詳しい。プロ級?いやほんもののプロ・・・・バイクにかけては、すさまじいかぎりのプロ
   フェッショナル。数々のスレッドを打ち立てた功績は大。

H.N.:TECHさん
   害Tさんと同じプロメカニック。じゃっかん、精神状態が不安定、みんなからシカトされている。人の
   不利見てわが不利直せ。しかし、この人のおかげで、わたしはある意味助かった気がしている。
   わたしも、一時期板で、KYのため同じような扱いをされていたことが、あった。しかし、この人が目 
   立ちだしたので、また受け入れてもらえるようになった経緯が、ある。
   かなり詳しいし、いい感覚を持ってるんだから、あそこまで、やらかしてしまうようなことがなけれ
   ば・・・思ったもんだ。
   しかし、ある意味その書き込みは、つねに衝撃的だった。よくぞ、あそこまで自分を壊しながら板と
   はいえ、書いてしまえるのか、と驚いた。せつかさんのダンナ(仕様?)、漢の・・・・・・さんとやりとり
   が、思い出される。

H.N.:漢の・・・・・さん
   せつかさんのダンナ(仕様?)。40歳代、板では、私と同じく長老の部類か。最後まで、せつかさん
   のダンナバージョンなのか、ダンナ本人なのか、はっきりとはわからず。ただし、せつかさんが、一
   度、実は・・・・と告白した書き込みあり。ただ、その後もダンナ仕様のままだったのか、ダンナ本人
   が書き込むようになったのかは、不明。以前、CR-X、7thスカイライン GTS-Rに乗っていた
   というから、相当の走り好きか。それに、お金をいっぱい持っていたことにもなる。硬派ひとすじ、漢
   いっぴきと言いたいところだが、現在は、美しく若い妻とかわいい幼子二人のおとーさんらしい。
   伝統派空手の有段者の模様・・・・ダンナ仕様なのか、どうかはいざ知らず、けっこう板でいい味を 
   出していたので大人気だった。


   といったところが、常連さんで、今思い出せる書き込み人たちだった。
  もう2度と同じ掲示板で、いっしょに書き込みあうことは、ないのだろう。
   さびしいことだけど、後悔先に立たずか・・・・・・・・・
   後悔するくらいなら、後悔のない生き方を今からでも、しようか。
   あの板の書き人たちにも、幸多い1年でありますようにと願おう。






 
   




  


2010年1月12日火曜日

スポーツカーに乗りたけりゃ・・・・・(1)

 スポーツカーに乗りたけりゃ、中古のMR2を買って、ちょっと進化させて乗ってみたらどうだろう。この
あいだ、とおりがかりで黒のSW20(グレード不明)が、19万円で売りに出ていた。これだけ、すばらしい
2シーターミッドシップが、たった19万円なんて。これをベースに進化させると、かなりのスポーツカーに
なるんだけど・・・・・
チューニング、改造、モディファイ、加工、いろいろ表現はあるけど、日本語じゃなかなかぴったりくる表
現がないから、あえて進化って言ってみる。まあ、それはいいけど・・・・

 自分でも乗ってるから、多少よく理解してるつもりだけど、このMR2本当によくできてるスポーツカーだ
と思う。ただし、LSD搭載のGT系(ターボバージョン)(V型はNAにもLSD搭載)についてだけど。NA
は、だめというのじゃないけどGT(ターボモデル)の圧倒的性能から比べると、そこまでは行っていない
のが、惜しい。

 3型以降のGTは、ノーマルでさえ、

0-400m 13秒台なかば
最高速   250km
筑波2000 68sec前後

 というすばらしいものである。とくに0-400mでは、NSX、FD3S、SUPRA RZ、ランエボ、インプ
など、いずれも280馬力上限のスポーティーカーをしのぎ(広報チューンなどされてなければ)、つるし
のR33のGTRと同レベル。(ちなみにつるしのR32 GTRは、なかなか14secを切れない)しかもMR2
は、245馬力で。
 
 最高速は、サーキットじゃあまり意味ないし(それより高速域での加速が重要)、意味がありそうなアウト
バーンは日本にはないが・・・・・・それでもノーマルで250kmの実力ってのは、かなりのもの。

 筑波 68secをマークしたのは、今から15年前のつるしMR2だから、他社のように広報チューン(タイ
ヤ、ブーストup)やれば、65secくらい行けるんじゃないだろうか・・・・・

 まあ、こんなデータ的なことも、確かにすばらしいことはすばらしいが、実際乗ってみるともっと実感とし
て、こいつはいいなあと思うことが、いっぱいある。

1)サイズが小さく、日本の道路でふりまわすのに非常に適している VS NSX GTO 
2)性能の割に燃費がいい。市街8-9 郊外・高速10-14(ノーマル) VS GTR NSX ランエボ
3)フロントガラスが、サイドまでかなりまわりこんでるラウンドシェイプ設計のため、とても視界が広い
4)視界が広いからまわりが良く見える。圧迫感がなく、疲労感が少ない。 VS インプ NSX ランエボ
5)2シータスポーツカーとしては、圧倒的に実用的な室内。 VS フェラーリ FD3S ランボ
6)空車時 43:57の重量バランスが、乗車時 46.5:53.5(体重75kgくらいとして)
7)初中級ドライバー向け、アンダーセッティングとは一線を画す、リバースオーバーに振りやすい足回り
8)アクセル一発、ブレーキング一発で、簡単に挙動を変えられる面白さ

とくにハンドリングに関しては、そのサイズともあいまって日本車で比肩しうるのは他にないんじゃないかと
思う。(第一級の性能を持つ車としては)乗ってみれば、まだまだ書ききれないほど、感動的なところが、
あるがこれくらいにしておこう。

 以前、カー雑誌NAVIで内外スポーツカー20台一気のり、という企画があったとき、「これはもうレーシ
ングプラクティスマシーン、ドライビングプラクティスカーそのもの・・・・」という評価があったのを思い出
す。

 たしかにその一方で、貧弱なパッシブセイフティー構造や、ファミリーカー並みのステアリング剛性、4-5速
のシンクロがいいかげんなトランスミッション、タイヤサイズ限界、高速時のリフトが起きやすいフロント部
の設計など、いろいろ本物のスポーツカーなら・・・・と思う欠点が、少ないわけではないけど、身近の
環境でスポーツドライビングをやってみるには、十分すぎるくらいだと思うんだが。



上は、WEBから、かっこよかったので拝借した映像。

 乗っていると、子どもや若者から「かっけ~!!」って言われることがある。いやにリアが間延びして見える
NSXよりも、発売当時からずいぶんたった今日では、デザインで勝っているような気もする。
 ただ、かなり目立つらしく、それなりに苦労はある。ちょっと、出かけてスーパーや公的な駐車スペース
にオーバーナイトで置いておくと、すぐ「違法駐車厳禁!」の貼り紙をされてしまう・・・・・


2010年1月8日金曜日

美人川柳作家は、内田恭子に激似!

 TVでやけに色白の目立つ美人が出ていた。ウッチーにそっくり。ウッチー、最近見ないうちに、ますます
美人になったなーっと思ったら・・・・

 別人の川柳作家、やすみりえさんとか。

いや、似てる似てる、それに、美しい。神戸育ちなんだとか。昔から、神戸には美人が多いそうだが、この
人も典型的な神戸美人なのだろうか。


左は、似てないが、右は、かなり似てないかなあ・・・・・
ウッチーの疲れが顔より、肌つやいい感じなんだが、トシは4つも上なんだとか。


2010年1月5日火曜日

中勘助さんの「銀の匙」

 この作品は、現代では埋もれてしまった過去の文学作品と言えるかもしれない。作品どころか、著者自体
もうほとんど忘れ去られている感がある。私自身も、つい最近まで名前を知らなかった。
 どういうわけで読むきっかけになったかと言えば、NHK教育テレビで2度ほど偶然に取り上げられた場
面を見かけたからだ。その際のあつかいが、きわめて丁重であり、懐古的であったので、興味を惹かれた
ものである。
 たしか、この作品の価値性として、それまで文学ではあまりなかった主人公の精神疾患(とは書かれてな
いが)、メランコリー症候群を取り扱ったものであること(現代で言う鬱症状)、こども時代の美しい描写だっ
たかと思う。
 この作品、なかなか見つけるのが困難だし、BOOK-OFFのカートに入れておくと、あっと言う間になく
なってしまうので、なおさら興味を惹かれ、ついにほかのリクエストも合わせて、かなりの冊数がたまったの
で発注をした・・・・・・

 さて、感想を書いておこう。

 まず、主人公は子どもである。すばらしい解説文が示すように、こどもがこどもを見る視点で、大人が書
いている世界観の描写という視点で、稀有な作品世界を描出している。しかし、そこまでだ。

 いや、読みにくいったらありゃしない。途中で、何度腹をたてかけたか、わからない。句読点が、正しく
あるいは、効果的にも用いられていない。そしてこれも意図的なものなのかどうか、わからないけど、どこ
で区切ったらいいのか、わからないワードが随所に出てくる。漢字を用いれば、ずいぶん解消できたの
だろうけど、やはり上述のような視点での意図するところがあったのだろうか。

 この文章は、透明で美しい文体と言うが、本当に美しいと言えるのは後半に登場する1章と、その前後
くらいのように思える。それまでが、異常に読みにくいせいもあって、スポイルしているのではないかと思
えてならなかった。

 ふだん1時間最低30ページ(読みやすい村上春樹作品なんかは、70ページ以上)のスピードで読ん
でいくのだけど、とてもそんなスピードでは読めない。だからといって、内容が深いわけでも、濃いわけでもない。
だから、腹がたつのである。なんと言っても読みにくい。ただ、それだけなのである。おそらく、ちっとも読
者の面倒など眼中にないのでは、あるまいか。

 中勘助さんについて調べたが、最初は詩人を志したらしいことが判明した。西洋にあるような散文詩
の大作を日本語でやってみようとして、不可能を知り、小説に転向したとある。

 それで、多少納得がいった。これは、小説としてでなく、散文詩として創作されたものであるということ
か。まあ一気にそう断定するのは、早計かもしれないが、少なくとも、著者の意識のなかに、まったく生起
していなかったとまでは言えないだろうと思う。

 この作品を読んでいたら、ルナアルの「にんじん」を想起させる共通点を感じ出した。あそこまでドライ
で虚無的で、ある意味残酷ではないけれども、主人公同士に似通ったなにかがあるように思う。

 この作品、読みにくいが、時代描写や風光描写のなかに、今日となっては、もう望めないような失われ
た時代の記憶が記録されているのは、間違いない。その価値性においては、現代に生きる人間にとって
も鑑賞に値するようだ。ただし、その価値性を尊ぶ心性があっての話だが。
 また、リアルタイムでその時代の記憶を内在している人々には、また別の意味で記念碑的重量をもつものかもしれない。

 また時をおいて、散文詩を鑑賞するつもりで再読するかなあ・・・・・・・次は、最初ほど手こずらないだろ
うし・・・・・・


 余談:中勘助氏は、作家 野上弥生子の初恋の相手だとか・・・・・、それらしい女の子が、銀の匙にも
出てくるが、そこはフィクションの世界だから、かならずしも登場人物とはピッタリ一致してはいなさそう
だった。
 



2010年1月2日土曜日

S15チューンドシルビア相手に走ってみたら・・・・

 ちょっと前のことになる。といっても、去年の11月か12月に入ったころの話。奥多摩で軽1BOXの
速いのと遭遇したころと同じくらい。

 けっこう都会に近い割には珍しい田園の中を通っている信号機のとても少ない道なんだけど、その名
も“みどりの道”というのが、熊谷の南、吉見町から川越近くまであって、ここが実に気分のいい道なので
ある。とくに週末の夜になると、前後に1台も走ってないみたいな、夢みたいな状況が表われ、まわりは、
かなりずーっと延々田園が続く、夜のしじまが取り囲んで現世のうさを忘れさせてくれるようなすばらしい
場所だ。ここを走っていると、久しく忘れていた、車に乗っているありがたさを思い出させてくれる。

 先日、何カ月かぶりかで伊勢崎にネットオークションで落札した(といっても入札1件)ZR1用のワイ
パーブレードを引き取りに、そして帰りに実家に寄って、という日帰り旅行にS600をひっぱり出した。
このところ、ずっと乗ってないので、2回バッテリーを上げてしまったし、たまには乗らないと・・・
ということだった。
 ちなみに乗用車最大サイズ(120?だったか)のこのクラスのバッテリーになると、充電にまる2日かか
る。(ホームセンターで2万円くらいで売ってる業務用に近い能力のやつでも)

 さて、1日の予定を終え、帰路についてその道を夢見心地で走っていくと、ある交差点で先に信号待
ちしている先行車が目にとまった。旧Gr.Aのようなカラーリングとド派手なステッカーを縦横に貼り巡
らしたGTウィング付きの国産スポーツクーペ。リアは、クリアレンズに交換してあるので、もしかしたら
ノーマルと形状が違ってるのかなあという感じだった。お決まりの太い1本出しマフラー、やや低めの
車高、リアビューは、マツダアテンザ??に似ていた。ときどきこのリア片側3灯の特徴的なランプに似た
リアランプの車でやたら挑戦的走行をするのがいるなああ、あの車?アテンザ?このころまで、S15
シルビアのリアの特徴を理解してなかったので、ときどき出くわすとアテンザって2.3リッターNAの割に
バカっ速いじゃないかなどとと勘ちがいしていたらしい。

 このときも同じで、アテンザかなあと思ったが、これ見よがしの走り屋仕様だったので、ちょっとS君の
動力性能テストをしてみるにはいいかもしれないなあと思えた。とはいえ、のっけから追い回すようでは、
昔からうようよいる、この車種(S君の)のアホバカオーナーと同類となってしまうのでそんな馬鹿なまねは
するつもりはまったくない。
 基本的な加速性能や巡航性能が走り屋君のチューンドにひけをとっていないことを確認できればそれ
でOK。無用なリスクを冒すことなどもってのほか。仮に万が一、限界を超えてコントロール不能に陥れ
ば、ガードレールさえほとんどないこの道路では、田畑の中につっこみ、月曜の朝までレッカー車を待た
ねばならなくなる。国産スポーツに乗る若者なら、笑って許されるような話でも、Sに乗ったいい歳の
40男が見るも悲惨な状況になってしまっては、シャレにならない。高級外車M.Sが田園につっこむ!
なんて田舎の新聞に載ってしまったら目もあてられない・・・・

 ということで、ごく普通にスタートし、ある程度先行させてからプレッシャーをかけて飛ばさせてみる作戦
でいこうと考えた。考えたが、しかし先方は何を感じたのか、何を考えたのか、やおらスタートからフル加
速で逃げ切りドライブを始めたのだった。これには、あっけにとられてしまった。また、なんで??と思っ
たが、やたらでかいバックビューに戦慄をおぼえでもしたのだろうか。

 さすが、チューンド車、出足加速も、コーナリングもけっこう速い(この道は、ところどころいいS字の
連続カーブがある)。こうなってくると、最初の作戦は意味がない。それでも、のっけから同時仕掛けって
のも味気ない気がしたので、十分加速をさせて距離を稼がせてから、さらに駄目押しの引き離しをして
やろうという走りの段階に移ろうというフェーズで、こちらが実力を出し、それを制する作戦でいくことに
した。
 このやり方だと、相手が走りに慣れているやつならば、距離が離れているとはいえ、相手の車とドライ
バーの実力が、けっこうわかるものだし。ミラーを常に確認して、自分の車の走行状態、自分のドライビン
グ状態を正確に認識していれば、ミラーに映る相手の姿の大きさから、バックミラーの車がどれくらいの
レベルで走っているかわかるはずだから。

 とはいえ、くれぐれも熱くなるのは禁物なので、冷静に冷静にと考えながら、あくまで路上性能テストに
終始するつもりで走ってみた。
 先方は、直線でも気持ちいいくらいに惜しげもなく加速してくれるので、こちらも遠慮なく加速することが
できて実にいい比較対象になってくれた。コーナリングは特別、プロ並みに速いというレベルでもないけ
れど、まずまず走り屋としては恥ずかしくないレベルかなあというくらい。

 全体的印象としては、ドライビングのうまさというより車の性能にたよった走りっていう感じが、けっこう
伝わってきた。まあ、だいたいめちゃめちゃうまいドライバーが、こういうこれ見よがしの車に、あまり乗っ
てないよなあ・・・などと思いながら、国道254での合流までなんとか離されずに距離を保ち走り切ること
ができた。先方は、最後でも全速で254を突っ切って西に走りぬけて行き、かなり頭に血がのぼってし
まったようだった。必死で離そうとしたのが、それこそ延々何キロにもわたってミラーからついに最後まで
消せなかったので、相当エキサイトしてるんじゃないのかなあと心配した。


 さて、その時は先方の車種がなんだかいっこうにわからなかったが、すぐ判明した。近所にまったく同
じ仕様の車が、工務会社の駐車場に止まっていた。ここは従業員に車好きが多いらしく、走り屋仕様や
大馬力車がけっこう止まっている。そして、このあいだ見慣れたリアコンビネーションランプを見つけるこ
とができた。GTウィングやカラーリング、ステッカー貼り巡らしまでそっくり。もしかしたら、相手本人かとも
思ったけどこのあいだのやつは、クリアレンズに交換にしてたから、違った。そのとき、この車はS15シル
ビアなんだと知った。

 S15シルビアなんだけど、ノーマル250馬力 トルク28kg、車重1280kgだそう。このあいだのやつ
は、かなり金をかけてるみたいだったから、最低でもライトチューンでもしてたのかもしれない。
 有名チューニングファクトリーJUNのライトチューンメニューを見ると、レベル1~2で280~350馬力とあった。
これかもなあ。
 まあ百歩ゆずってノーマルだったとしても(少なくともマフラーはノーマルじゃなかったけど)、性能比較
には、いい相手だったのかもしれない。

 車重差約1000kg、かたやチューンドGTスポーツ、こなた大排気量ラグジュアリークーペ、性格や
目的も全然かけはなれたベクトルで企画され設計され生み出された車同士ではあるけど、こと走りの
性能という局面では比較検証が可能であり、比べる価値はあるわけである。
 ことに、Sにとっては、ノーマル状態で、もっとも性能を発揮しにくい低速S字コーナリングやブラインド
コーナリング、出足から巡航までの加速力などを試すには、その局面でもっとも強いと思われる相手を
向こうに回して、いい材料になるのである。

 今回の動力性能路上比較を通じての検証結果は、こんなところ。

 1)低速~中速加速で S15の全速(?)に7~8割スロットルでついていける。この場合馬力荷重より
   トルク荷重のほうの影響が大きいのでは?トルクバンドの広い設定のエンジンに有利か?
 2)苦手とする低速コーナリングでも、アクティブサスの性能を使うと国産チューンドと同等のコーナリン
   グスピードは、実現できる。ただし、車の構造上、とてもラインを選んだコーナリングなど不可能。
   夜の準限界低速コーナリング時は、道路が見えない。⇒ これは、とても危険。
 3)かなりハイスピードかつステア量の大きいコーナリングになってもまったく破綻が見えてこない。
   ステアの入力と出力に、リニア性は薄い。自動車が最小限での安全方向に出力してくる傾向が
   ある。だからと言って遅くなる性質ではないけど、エキサイティングなハンドリングではない。

 といった感じだった。まあ、何カ月も乗らないでいた割には、まずまずのようだった。

 ちょっとこんな車↓でしたなあ・・・・なんか、少し調べたら、「2006 トラストS15シルビア優勝車仕様」
ってやつのようだった。なんの優勝車なのかは、残念ながら、わからなかった・・・・・
 いっしょに走ってくれたやつのは、ブルー系。

(下のオレンジの画像はプラモ)