速いのと遭遇したころと同じくらい。
けっこう都会に近い割には珍しい田園の中を通っている信号機のとても少ない道なんだけど、その名
も“みどりの道”というのが、熊谷の南、吉見町から川越近くまであって、ここが実に気分のいい道なので
ある。とくに週末の夜になると、前後に1台も走ってないみたいな、夢みたいな状況が表われ、まわりは、
かなりずーっと延々田園が続く、夜のしじまが取り囲んで現世のうさを忘れさせてくれるようなすばらしい
場所だ。ここを走っていると、久しく忘れていた、車に乗っているありがたさを思い出させてくれる。
先日、何カ月かぶりかで伊勢崎にネットオークションで落札した(といっても入札1件)ZR1用のワイ
パーブレードを引き取りに、そして帰りに実家に寄って、という日帰り旅行にS600をひっぱり出した。
このところ、ずっと乗ってないので、2回バッテリーを上げてしまったし、たまには乗らないと・・・
ということだった。
ちなみに乗用車最大サイズ(120?だったか)のこのクラスのバッテリーになると、充電にまる2日かか
る。(ホームセンターで2万円くらいで売ってる業務用に近い能力のやつでも)
さて、1日の予定を終え、帰路についてその道を夢見心地で走っていくと、ある交差点で先に信号待
ちしている先行車が目にとまった。旧Gr.Aのようなカラーリングとド派手なステッカーを縦横に貼り巡
らしたGTウィング付きの国産スポーツクーペ。リアは、クリアレンズに交換してあるので、もしかしたら
ノーマルと形状が違ってるのかなあという感じだった。お決まりの太い1本出しマフラー、やや低めの
車高、リアビューは、マツダアテンザ??に似ていた。ときどきこのリア片側3灯の特徴的なランプに似た
リアランプの車でやたら挑戦的走行をするのがいるなああ、あの車?アテンザ?このころまで、S15
シルビアのリアの特徴を理解してなかったので、ときどき出くわすとアテンザって2.3リッターNAの割に
バカっ速いじゃないかなどとと勘ちがいしていたらしい。
このときも同じで、アテンザかなあと思ったが、これ見よがしの走り屋仕様だったので、ちょっとS君の
動力性能テストをしてみるにはいいかもしれないなあと思えた。とはいえ、のっけから追い回すようでは、
昔からうようよいる、この車種(S君の)のアホバカオーナーと同類となってしまうのでそんな馬鹿なまねは
するつもりはまったくない。
基本的な加速性能や巡航性能が走り屋君のチューンドにひけをとっていないことを確認できればそれ
でOK。無用なリスクを冒すことなどもってのほか。仮に万が一、限界を超えてコントロール不能に陥れ
ば、ガードレールさえほとんどないこの道路では、田畑の中につっこみ、月曜の朝までレッカー車を待た
ねばならなくなる。国産スポーツに乗る若者なら、笑って許されるような話でも、Sに乗ったいい歳の
40男が見るも悲惨な状況になってしまっては、シャレにならない。高級外車M.Sが田園につっこむ!
なんて田舎の新聞に載ってしまったら目もあてられない・・・・
ということで、ごく普通にスタートし、ある程度先行させてからプレッシャーをかけて飛ばさせてみる作戦
でいこうと考えた。考えたが、しかし先方は何を感じたのか、何を考えたのか、やおらスタートからフル加
速で逃げ切りドライブを始めたのだった。これには、あっけにとられてしまった。また、なんで??と思っ
たが、やたらでかいバックビューに戦慄をおぼえでもしたのだろうか。
さすが、チューンド車、出足加速も、コーナリングもけっこう速い(この道は、ところどころいいS字の
連続カーブがある)。こうなってくると、最初の作戦は意味がない。それでも、のっけから同時仕掛けって
のも味気ない気がしたので、十分加速をさせて距離を稼がせてから、さらに駄目押しの引き離しをして
やろうという走りの段階に移ろうというフェーズで、こちらが実力を出し、それを制する作戦でいくことに
した。
このやり方だと、相手が走りに慣れているやつならば、距離が離れているとはいえ、相手の車とドライ
バーの実力が、けっこうわかるものだし。ミラーを常に確認して、自分の車の走行状態、自分のドライビン
グ状態を正確に認識していれば、ミラーに映る相手の姿の大きさから、バックミラーの車がどれくらいの
レベルで走っているかわかるはずだから。
とはいえ、くれぐれも熱くなるのは禁物なので、冷静に冷静にと考えながら、あくまで路上性能テストに
終始するつもりで走ってみた。
先方は、直線でも気持ちいいくらいに惜しげもなく加速してくれるので、こちらも遠慮なく加速することが
できて実にいい比較対象になってくれた。コーナリングは特別、プロ並みに速いというレベルでもないけ
れど、まずまず走り屋としては恥ずかしくないレベルかなあというくらい。
全体的印象としては、ドライビングのうまさというより車の性能にたよった走りっていう感じが、けっこう
伝わってきた。まあ、だいたいめちゃめちゃうまいドライバーが、こういうこれ見よがしの車に、あまり乗っ
てないよなあ・・・などと思いながら、国道254での合流までなんとか離されずに距離を保ち走り切ること
ができた。先方は、最後でも全速で254を突っ切って西に走りぬけて行き、かなり頭に血がのぼってし
まったようだった。必死で離そうとしたのが、それこそ延々何キロにもわたってミラーからついに最後まで
消せなかったので、相当エキサイトしてるんじゃないのかなあと心配した。
さて、その時は先方の車種がなんだかいっこうにわからなかったが、すぐ判明した。近所にまったく同
じ仕様の車が、工務会社の駐車場に止まっていた。ここは従業員に車好きが多いらしく、走り屋仕様や
大馬力車がけっこう止まっている。そして、このあいだ見慣れたリアコンビネーションランプを見つけるこ
とができた。GTウィングやカラーリング、ステッカー貼り巡らしまでそっくり。もしかしたら、相手本人かとも
思ったけどこのあいだのやつは、クリアレンズに交換にしてたから、違った。そのとき、この車はS15シル
ビアなんだと知った。
S15シルビアなんだけど、ノーマル250馬力 トルク28kg、車重1280kgだそう。このあいだのやつ
は、かなり金をかけてるみたいだったから、最低でもライトチューンでもしてたのかもしれない。
有名チューニングファクトリーJUNのライトチューンメニューを見ると、レベル1~2で280~350馬力とあった。
これかもなあ。
まあ百歩ゆずってノーマルだったとしても(少なくともマフラーはノーマルじゃなかったけど)、性能比較
には、いい相手だったのかもしれない。
車重差約1000kg、かたやチューンドGTスポーツ、こなた大排気量ラグジュアリークーペ、性格や
目的も全然かけはなれたベクトルで企画され設計され生み出された車同士ではあるけど、こと走りの
性能という局面では比較検証が可能であり、比べる価値はあるわけである。
ことに、Sにとっては、ノーマル状態で、もっとも性能を発揮しにくい低速S字コーナリングやブラインド
コーナリング、出足から巡航までの加速力などを試すには、その局面でもっとも強いと思われる相手を
向こうに回して、いい材料になるのである。
今回の動力性能路上比較を通じての検証結果は、こんなところ。
1)低速~中速加速で S15の全速(?)に7~8割スロットルでついていける。この場合馬力荷重より
トルク荷重のほうの影響が大きいのでは?トルクバンドの広い設定のエンジンに有利か?
2)苦手とする低速コーナリングでも、アクティブサスの性能を使うと国産チューンドと同等のコーナリン
グスピードは、実現できる。ただし、車の構造上、とてもラインを選んだコーナリングなど不可能。
夜の準限界低速コーナリング時は、道路が見えない。⇒ これは、とても危険。
3)かなりハイスピードかつステア量の大きいコーナリングになってもまったく破綻が見えてこない。
ステアの入力と出力に、リニア性は薄い。自動車が最小限での安全方向に出力してくる傾向が
ある。だからと言って遅くなる性質ではないけど、エキサイティングなハンドリングではない。
といった感じだった。まあ、何カ月も乗らないでいた割には、まずまずのようだった。
ちょっとこんな車↓でしたなあ・・・・なんか、少し調べたら、「2006 トラストS15シルビア優勝車仕様」
ってやつのようだった。なんの優勝車なのかは、残念ながら、わからなかった・・・・・
いっしょに走ってくれたやつのは、ブルー系。
(下のオレンジの画像はプラモ)
0 件のコメント:
コメントを投稿