の掲示板でも、そんな論調が若い車好きに多いような気がする。
私は、どちらかと問われれば、どちらでも派?だろうか。よく、ターボ VS. NAという語り口があるけ
ど、よーく考えてみると、ターボ VS. NAじゃなくて、ターボ VS. 大排気量(NA)って言うのが、
あってるんじゃないかという気がする。ターボは、排気量の不足を補い、あるいは小さいキャパのエンジ
ンながら大排気量なみのパワーを出す目的で存在していると思うからだ。NAというのは、特別に独立し
て存在するわけではなくて、基本型というか、もともとは、すべてのエンジンがNAが基本なのだということ
ではないのかと思うのだが・・・・・・世間ではNA高回転エンジン VS.ターボエンジン VS.大排気量
エンジンみたいな図式が自動車フリークの間で話題になっている。
ターボエンジンというのは、原理がジェットエンジンにも応用されているというのは、知っている人は、
どれくらいいるだろうか。あまりいないんじゃないかと思う。私も、くわしくは最近まで知らなかった。専門の
本を読んでもなんの話やらむずかしくて全然理解できなかった。それがインターネットの発達にともない
同時にいろんな資料にあたれる強みから、今やかなり高度な専門知識も以前よりは容易に獲得できる
ようになった。そのおかげで、ジェットエンジンの基本的原理も、誰でもすこしは理解できるようになった。
ご存じのように、ターボエンジンというのは、排気圧力を利用して、インペラー(排気側タービンブレー
ド)をまわし、それが同軸上につながったインペラー(吸気側タービンブレード)をまわしてやることにより
空気を強制的に吸い込むしかけである。NAでは、ピストンの下降にともない吸気バルブが開くことに
よって生じた負圧(吸い込む力)で空気を吸いこんでいる。つまり、言いかえればダブルのしかけで、
空気を吸い込むしかけと言える。それとNAでは、ピストンの押し下げ圧力で吸っているので、基本的に
吸気の圧力(負圧)は、一定(正確にはカムプロフィールによって変化する)だが、ターボエンジンの
場合、排気圧力が増えれば吸気圧力が増え、吸気圧力が増えれば、排気圧力が増え・・・・・と、原理
的には天井知らずで吸気量が増大することになっている。もちろんエンジンの強度に限界があるから
そうは、簡単な話ではなく、市販の自動車エンジンでは現実的にはそれほど限界が高いわけではな
い。
自動車では、基本的に吸気量の増大によって増大した爆発エネルギーをそのままNAと同じように
クランク軸に導き、トランスミッション、ドライブシャフト、ホイール、タイヤと伝えている。一方ジェットエンジ
ンでは、さっきの排気圧力が増えれば吸気圧力が増え、吸気圧力が増えれば、排気圧力が増え・・・・・
の原理で幾何級数的に圧力を増大させ、きわめて濃密な圧縮空気を作り出し、そこに燃料(ケロシン
=灯油)を噴射、点火させ、爆発時の噴射エネルギーで人工的な気流を生み出す。当然ジェットエンジ
ンの手前は、エンジンに吸い寄せられるものすごい気流が発生することになる。
あとは、翼やヨットのセールの推進力の原理と同じで、翼の上下を通過する気流の速度差を利用して
揚力を発生させ、飛んでいくことになる。離陸時は、多分フラップを使って揚力を前方に転がす力に
しているのでは、ないか。(そこまでは、調べたことがないが)。いずれにせよ、ジェットエンジンというの
は、タービンの化け物だと思えば理解がしやすいのではないだろうか。
あたりまえだが、ピストンもコンロッドもクランクもない。
60年代~70年代の米国でのV8エンジンパワー競争時代、ターボジェットV8とかロケット455とか、
スーパーコブラジェットなどのネーミングが流行ったが、どのエンジンもジェットは、おろかターボさえ
無関係のV8OHVだった。おそらく、軍用機の飛行能力にかぶせたネーミングでマーケットにイン
パクトを与えたかったのだろう。
ただ、オールズのロケット455W31エンジンといのうは、どういう仕掛けになっているのか、吸排気
の多少パーツを変えた仕様で走って、いざ全開にすると、本当にロケットの発射音のような爆音を出す
のには驚いたことがある。おそらくノーマルでも同じだったかと思う。日本では、オールズロケットV8
のオーナーになった人は、数えるくらいしかいないだろうから全くそんな話は聞いたことがないし、米国
のサイトを見てもそれらしきことは、ちっとも載ってないないのだが。
夜の国道バイパスで響き渡った、あのまるでロケットの発射音みたいな轟音は、私の錯覚だったの
だろうか?
ちなみに、その後徹底的にブループリンティング(フルチューニング)を施された、ロケットV8は全く
そんな音は出さなくなったが・・・・
話を少しもどそう。ターボチャージャーというのは、第二次世界大戦でおもに米国爆撃機に採用されて
高空を快速で飛行できるものとして圧倒的に活躍したのが知られている。B17やB29である。
日本では、ターボチャージャーの技術が遅れていたため、なかなか迎撃ができにくかったと言われて
いるが、実際は大健闘でB29搭乗員3000人以上が戦死している。
また、有名な米国海軍のF6F、陸軍のP51も日本機と同じスーパーチャージャー式エンジンだったの
だし。大戦末期には、戦闘機にターボチャージャーをという計画もあったらしいが、米国陸海軍は、採用
を見送ったと言われている。
ということで、生きるか死ぬかの戦争における戦闘機同士の空中戦では、大排気量のスーパーチャー
ジャーエンジンが、優勢であったというべきじゃないだろうか?ターボラグのあるエンジンでは、話になら
ないということなんだろうか?
*先日、呑龍という日本の4発型爆撃機搭乗員だった方(民間パイロットから軍に徴用された)の市内
で行われた講演会に出席させてもらった。ちょっと質問したら、司会者からマニアックすぎるのでそのへ
んで・・・・と中断されてしまったけど、大戦末期の日本の爆撃機でも、米国機を上回る3段3速、あるい
は4段4速のスーパーチャージャー付きエンジンを搭載していたということを聞いた。
またその人の後輩で同じ会に出席し私の隣に座っていた人(80歳)が、私の方に向かいながら、詳しく
説明してくれたのだが、飛行機というのは離陸時が、一番馬力が必要なそうで、私がそのとき別に質問し
た水メタノール噴射装置(大戦中にドイツ空軍や日本海軍の紫電改でも使用したとされ、米国V8エンジ
ンのチューニングでも使われることがある)では、離陸時にしか使わないそうである。(ターボプロップの
旅客機の話だろうけど)。大体、灯油缶1缶くらいだそうだ。それ以上、戦闘機では、追撃時や避退時に
使ったのでは、ないですか?とはその方の専門とは、違うようだし、せっかく大切なことを教えてくれてい
るのに失礼な気がして聞くのは遠慮した。
この方(後輩の方)は、昭和40年代から30年間、国際線ジャンボジェットの機長をされていたそうで、
その折りのアルバムなども見せていただいた。そこには、その方の40代の壮年時の頼りがいのあり
そうな機長姿があった。
ジャンボを世界中に飛ばしていた人が、もうこんな高齢になっておられるのか・・・・・と少し驚いたと
同時に日本の戦前の航空パイロット養成課程というものの、質の高さというか、確かなものだったという
か、現代のわたしたちは、昔は遅れていたんだろう・・・・とステレオタイプな考え方になりがちだが、反省
しなけりゃならないという気がした。
この方は、実ににこやかで腰が低く、品のいい好好爺というにはまだ早い老紳士という風情だった。
先輩もこの方も、学校は仙台乗員養成所という地方の航空学校出身なのだが、きちんとプロセスを
ふんで教育・訓練を続けると爆撃機やジャンボも飛ばせるようになるんだなあと、感慨深かった。
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