2015年3月21日土曜日

最強の柔道家は誰か?まじかで見た最強クラスの柔道家たち(2)

ちょっと視点を変えてみよう。現在における最強選手といえば、これは実績から言ってもテディー・
リネール選手であることは疑いのないところだろう。公称204cm(以前は200cmと言っていたが)、
129kgで鋼鉄のような肉体。イメージだけで考えるならへーシンクさんやルスカさん、山下師範なども
凌駕してしまうのでは?と考えてもおかしくない。ましてや木村政彦先生など・・・・と考えがちだ。

動画で実際の試合の様子を見てみた。するとそうでもないことがわかる。最近の立山選手や七戸
選手との試合を見ると、実力的にさほど上回る選手でもないようだ。それどころか相手にいいところ
を持たれて投げられるリスクが発生するとすかさず掛け逃げばかりする。ずるがしこい柔道で
ある。危ないところをうまく逃げ、反則にならないようにする、あるいは反則すれすれで切り抜ける、
相手が十分に組めないでいたその瞬間を狙ってこのときとばかりに豪腕でひねり倒す、そんな柔道
に見える。あれでは最強の柔道家の称号は無理ではないかと思う。

へーシンクさん、ルスカさん、山下師範とも全力の真っ向勝負で一本を取りに行くスタイルだった。
木村先生は言うまでもない。ここに名前のあがる全員がすぐれた日本人指導者について柔道を学
んだと言われている。へーシンクさんを一から育てたのは大日本武徳会柔道の道上伯師範、ルス
カさんを最強選手にしたのは岡野功師範の正気塾、木村先生は鬼の牛島師範、山下さんは佐藤
師範とされている。意外にもルスカはトレーニングから稽古から何から何まで日本式であそこま
で強くなった選手だった。違っていたのは牛乳乳製品を日本人よりも頻繁に摂っていたことくらいだ
ろうか。おそらくリネール選手を指導したのは、ポイント優先柔道で育ったヨーロッパ系の元選手
の指導者ではないだろうか。ルールの範囲ならば試合運びはそれでいいのだろうが、果たして最
強にふさわしいかどうかとなればやや疑念が生じてくる。

総合格闘技に行った石井慧が現役を続行していたらリネールの独走はなかったろうと思う。ちなみ
にNHKでやった石井のドキュメントでは、合同稽古のとき石井の乱取りの相手への申し出をオリン
ピック前だったせいもあってか断っていた。リネール選手を最強の柔道家の列には入れられなさそ
うである。人種差別はしていないが、現在のF1のルイス・ハミルトンに共通したものがあるような気
がする。負けた試合が気に入らなくてリネールが礼をせずさっさと帰ったところなど、ハミルトンがさ
んざんぬかれまいと妨害しピットレーンまでひきずって入っていくいさぎよくない姿にオーバーラップ
してしまう。

後記
一時期ルール改正に伴って、ヨーロッパ系の選手達が以前の極端なポイント優先主義から、柔道
本来の一本を取るスタイルに変化した気がしたが、また戻ってしまったのだろうか。あるいはリネー
ル選手だけの問題だろうか。ヨーロッパ系選手の柔道スタイルが変わったとき、彼らはどちらにで
も順応できるんだなあと感心したものだったが。


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