2010年2月22日月曜日

トヨタの一連の問題の原因は、何なのか?

 ブレーキシステムやフロアマットの設計、エンジンマネージメントシステムの不具合と矢継ぎ早に起こる
トヨタ一連のリコール問題なんだけど、去年おととしの、派遣切り、リーマンショック、それに先立つ原油高
など、自動車業界をとりまく環境激変と無関係ではない気がする。
 
 さかんにトヨタ方式の無駄排除、効率化の導入例が、他社企業でも成功しました・・・・・式の報道が、なさ
れてきたが、正直危ういと思った。

 お役所日の丸みたいな日本企業とトヨタに負けないくらい効率化重視の外資で働いてきたけど、日本人
というのは、どうも成功体験が喧伝されると、マネージメントが効かなくなる傾向にあるような気がする。
 要するに横並び意識からか、現場重視(あるいは現場も?重視)からか、マネージメントが本来、管理す
べき事案に、組織内の主導権関係からか、積極的に関与しようというマネージメント層が引っ込んでしま
い、黙ってしまうということである。さらに始末が悪いのが、経営レベルで、実務マネージメント層の見解
を受け入れず、現場重視、成功体験継承で経営判断してしまう傾向に陥りやすいのが、日本人の旧来
型の経営層の特徴である。ひどい時には、異を唱えるやつでもいれば、即座に左遷か追放かの憂き目
を味あわせてくれる。

 TV番組を見ていて思ったのは、あそこまで徹底的に無駄排除をやると、いたるところ、どこでもかん
でもやるようになってしまいは、しまいか?ということである。本来、無駄排除、効率化がなじまない分野と
いうのがある。投資に対する効果が、まったく短期では見合わない分野である。そこさえ、トヨタ方式を導
入してしまうのではないか、ということである。それをトヨタは、やってしまったのだと思う。
 
 ここ10年くらい、組織の大勢にあがなうような言動や行動をとれば、どういう末路が待っているか、誰で
も知っている。一方、組織の危急を救うような行動をしたところで、そのために生じた軋轢は、いつまでも
根に持たれて復讐の機会を狙われるのだから、リスクを踏んででもやろうという人間などいなくなってしま
うのだと思う。けっきょく日本人ってのは、組織や集団の発展や維持なんかより、個人的な気分を、良否
のパラメータとしているようなのが近年の国民性で、そこここにそれが、蔓延してしまってるいるのではな
いだろうか。
 トヨタの中にも、このままではまずいことになる、と思った人たちがいたはずだ。でも、口をつぐんでしま
った。それが、問題の根本にあると言ったら言い過ぎか・・・・・

 外資系保険会社の責任者トップとして、初代全社セールスマネージメントシステム開発をIT企業の
インド人エンジニアおよびスタッフ、日本人スタッフ多数など使ってプロジェクトドライブしたことがあっ
た。
 たしか試行錯誤の末、曲がりなりにも完成まで6カ月もかかった記憶がある。(日本社なら1~2年かけ
ている)それでも突貫工事であり、アライアンスを組んだIT企業のマネージャーなどは、導入リミット前や
システム事故対応では何度も徹夜をした。

 ものすごく複雑精緻なシステムを組むと、間違いなく組んだつもりでも実際に動かしてみると、何らかの
支障や事故は、少なからず発生する。そういった支障解決や事故対応には、無駄排除、効率化など
と言った騒ぎどころではない。
 予算管理だってと執行額との差異が、数倍の開きにもなってしまった。もし、渋顔作りながらもサインし
てくれた日本人重役(50歳ちょっとで業界ではかなり若かった)がいなかったら、多分挫折していたろうと
確信している。

 IT企業からは、導入まで十分なテスト期間を設けてテストしながら、導入させてほしい、と再三要請が
あった。重要性は、十分認識したが、経営レベルも現場のフロントラインもなかなか理解しなかったの
で、狭間で大変な思いをさせられた記憶がある。

 システム分野やセキュリティー分野などは、あまりトヨタ方式の洗礼を受けさせない方がいいのでは、
ないかと思う。セキュリティー分野も金にならない分野だ。そこに資金投下していくには、他で血のにじむ
ような節約をしているのに・・・・・と言った当然反発や干渉が発生するだろう。それをかぶらせてはいけな
い。けちっていい分野とそうしてはいけない分野があると思う。その境目を踏み越えてしまったのが、今
回のトヨタ問題の源泉ではないだろうか。

 ちなみにセキュリティー問題については、この分野のナンバー1と言われるメルセデスベンツ社が、ど
れくらい膨大な時間とコストをかけて長年取り組んできたか、詳しい本が何冊も出ている 

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